【記者手帳】米テスラの「韓国差別」価格政策

 韓国の消費者を差別しているという論争は、今回が初めてではない。今年5月、テスラは「モデル3」の価格を米国で250万ウォン(約23万円)分ほど引き下げたが、韓国では価格をそのまま維持した。モデル3の韓国国内での価格は少しずつ上がり、昨年8月の発売当時は5239万ウォン(約484万円)だったのが、現在ではおよそ250万ウォン引き上げられ、5479万ウォン(約506万円)で販売されている。北米、中国など主要市場で価格を徐々に下げる一方、韓国では逆に価格を上げているのだ。

 こうした価格政策について、会社側から明確な説明はない。ただ、最も有力な理由としては、韓国では補助金をたくさんもらえるので価格を下げる必要性を低く見積もっている-という。テスラは今年、韓国でおよそ2000億ウォン(約185億円)の補助金の恩恵を受けるという見込みが出ている。逆に米国では、補助金を受け取れない状況だ。米国ではメーカーごとに販売台数が20万台になるまで電気自動車の補助金が与えられるが、テスラは既に2018年の時点で販売台数20万台を突破した。

 テスラ車の価格は世界で随時、引き上げられたり引き下げられたりしている。消費者としては、自動車メーカーがいつ車の価格を引き上げるか、あるいは引き下げるか分からないのなら、運任せで車を買うしかなくなる。数千万ウォン(1000万ウォン=約92万円)する自動車を買っていって、わずか数日後に価格が落ちることもあり得るし、購入前にいきなり価格が上がることもあり得る。韓国の電気自動車市場は世界的に見て大きな市場ではないので、こうした「ゴムひも政策」を固守しているということもあり得る。それでも韓国は、テスラが最も多くの自動車を売っている国の一つなのに、「冷や飯」論争がなくならないのはひたすら残念に思う。

ピョン・ジヒ記者

■2020年1ー5月の世界電気自動車販売台数1位はテスラ、現代6位、日産は?

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