財政健全性は良好? 有利な統計を選んでいた韓国政府

 米国、日本、欧州連合(EU)の主要国は基軸通貨国なので、極端に言えば、自国通貨を刷って借金を返すことができる。しかし、韓国はそれができない。報告書は「小国、開放経済、非基軸通貨国、高い輸出依存度など韓国の特性を考慮すると、米国、日本などのように経済規模が大きく、債務比率も高い国を加重した平均概念である『加重平均』で韓国の債務水準を比較することに実益があるかどうか論議が必要だ」とし、「『単純平均』が物差しとして適切だ」と指摘した。

 報告書によると、韓国政府は来年度予算案と共に提出した「第2次長期財政見通し」で今後政府が財政支出をどれだけ増やすか予想する方式も変更した。政府の歳出には健康保険、国民年金、報勲手当など法律に従い必ず支出しなければならない「義務支出」のほか、韓国版ニューディール予算のようにその時の政策によって政府が任意で支出する「裁量支出」がある。2015年に朴槿恵(パク・クンヘ)政権が発表した第1次長期財政見通しは今後の義務支出増とともに、裁量支出も毎年4%増えると仮定した。しかし、文在寅政権の第2次長期財政見通しは24年から60年まで義務支出と裁量支出を合わせた額が4%増えると仮定した。

 今後は人口の高齢化などで福祉支出が増え、義務支出が急速に増加すると予想される。このため、第2次長期財政見通しを守るためには、次期政権からは裁量支出を削減し続けなければならない。現政権は任意で政府財政を投入したが、次期政権からはそれを支えるために新たな政策は取らず、財布のひもを締めなければならない。

 与野党はそうした報告書に基づき、来年度予算案の審議を開始した。民主党の金太年(キム・テニョン)院内代表は「556兆ウォン規模の来年度予算案はコロナ危機克服と先導型経済に大転換を図るための必須財源だ」とし、「野党が予算審議を政争の手段としないことを望んでいる」と述べた。野党国民の力のペ・ジュンヨン院内広報は「現政権が終わり、残るのは負債だけだ。役に立たない事業と予算を必ず削減する」と述べた。

■韓国の政府債務比率が3年間で11ポイント上昇、日本は?

キム・ギョンピル記者
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