【コラム】「悪い奴」を適法に裁くのが法治だ

金学義出国禁止に偽書類
政府の公式説明は「避けられなかった」
違法を繰り返し感覚まひ
法治・司法体系を攻撃する現政権

 李根安はそうだった。「容共分子処罰」という彼の正義を実現するため、関節折り、電気拷問をいとわなかった。李根安は7年の刑期を終え、数年後にメディアのインタビューに応じ、自分は拷問技術者ではなく、「尋問技術者」だと言った。自分の行為は「愛国」だとも語った。「当時に戻っても同じことをやる」とも言い放った。正義を実現するという名分で不法に目をつぶれば、こんな野蛮に帰結する。

 金学義元次官に対する不法な出国禁止措置は、当時大検察庁過去史真相調査団に派遣されていた検事個人の犯罪だろうか。もちろん偽の事件番号を記した虚偽文書で出国禁止要請書を作成し、事後承認要請書にありもしない内部調査番号を記載して執行したのはその検事だ。しかし、法務部が今月12日、16日に相次いで示した公式見解によると、そうした犯罪が政府レベルの問題であることが分かる。法務部は見解の中で、「差し迫った不可避な事情を考慮する必要性があった」「副次的論争だ」とした。国家機関を動員し、露骨に不法行為を犯した事例が繰り返されると思えば、政府は違法性が指摘された問題について、公式見解でも「避けられなかった」「副次的」という弁明を堂々と行った。

 どうしてこんな状況になったのか。正義を独占しているかのように陶酔し、不法に対する感覚がまひしたのだ。大統領の友人を蔚山市長に当選させるため、青瓦台の7つの組織が介入した政権だ。月城原発の早期閉鎖を願う大統領の意向に沿い、経済性評価をねつ造した政府だ。こんな不法を犯しても検察の捜査班を分解させ、監査院長を「家を番をしろと言ったら、主人のように振る舞っている」などと攻撃する。あきれることに政府は開き直り、「民主主義に対する挑戦だ」「法と制度を思い通りに裁いている」などと言っている。法治と司法体系を破壊し、民主主義を攻撃している集団が法と制度、民主主義をうんぬんしている。

チョ・ジュンシク副局長兼社会部長

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