【寄稿】福島事故から10年、再び注目される原子力

 ロシアは、福島事故で西側諸国の原発産業がもたつく間に、最大の原発輸出国へと浮上した。2018年のロシア原子力公社(ロスアトム)の発表によると、12カ国で30基を超える原発を提供、もしくは契約を進めており、事業価値は韓国ウォン換算で150兆ウォン(現在のレートで約14兆3000億円)に迫るという。福島事故の当事国である日本はどうか。少なくとも20%の原発発電比率を維持したいとして、原発再稼働を督励している。

 アジア地域で真っ先に脱原発を推進した台湾は、脱原発から抜け出そうとしている。台湾は2018年の国民投票で、脱原発の根拠となっていた電気事業法を改正して脱原発条文を削除した。だが法改正にもかかわらず、民進党政権が脱原発にこだわっていることから、今年に2度目の国民投票を実施する。今回は、福島事故の影響で7年にわたり建設が中断している竜門原発の建設再開が対象だ。続けざまに脱原発政策を無効化しようとする台湾住民の試みは、台湾と似たエネルギー需給環境を持つ韓国にとって示唆するところが大きい。

 福島事故後の10年間、世界の原発産業が現状維持を続けてきたとするなら、今後10年は原発産業にとってチャンスの時期だ。2020年代に入り、エネルギー転換の世界的な話題は断然「カーボンニュートラル」だ。カーボンニュートラルが要求されればされるほど、原発の必要性が浮き彫りになることは避けられない。米国では既に複数の州政府が、原発に対して再生エネルギーと同様のクリーンエネルギー補助金を支給している。

 英国で原発の電気は風力よりも高い。それでも英国は、原発をカーボンニュートラルの核心エネルギー源として推進している。韓国の原発の競争力は技術的にも経済的にも卓越している。だから、こうした変化の時期において脱原発に執着してはならない。これ以上エネルギーをイデオロギーの物差しで見てはならず、実事求是(事実に基づいて真理を追究すること)の立場からエネルギー政策を立て直すべきだ。

チョン・ドンウク中央大学エネルギーシステム工学部教授

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