【記者手帳】次期大統領候補・李在明の危険なメディア観

【記者手帳】次期大統領候補・李在明の危険なメディア観

 民主主義社会において権力とメディアはしばしば不都合な関係を形成する。権力をけん制し、監視することこそメディアの最も重要な機能だからだ。権力の口の中にある舌のように振る舞うメディアばかり残れば、多様で健全な世論が表に出なくなり、最終的には権力の暴走を防ぐことができず、社会は病んでしまう。そうした点からすると、最近の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事のメディアに対する姿勢は危険に見える。

 朝鮮日報の経済専門インターネット・メディア「ChosunBiz」は5日、京畿道庁傘下の京畿信用保証財団が各都市銀行に公文書を送り、「京畿道型基本融資」商品の開設が可能かどうか問い合わせたことを報道した。京畿道型基本融資は李知事が昨年から主張している政策で、信用度にかかわらず年3%という低い金利で金を貸す福祉性金融商品だ。京畿信用保証財団の公文書を受け取った各銀行の担当者たちは「基本融資商品は非現実的だと判断したが、有力な大統領候補の要求をむげに断ることはできなかった」と話す。

 李知事は報道が出た直後、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェイスブック」の自身のアカウントを通じて、「ChosunBiz、これだから積弊(前政権の弊害)メディアと言われるのだ」「操作報道をして、政治的に陰湿な攻撃に出た」と非難した。自ら直接、「そのような要求を銀行にしたことはないが、可能かどうかを問い合わせた」だけだと釈明した。「銀行が危険だと判断し、やらないならそれまで」「強要したかのように描写したのは道理に合わない」とも述べた。

 しかし、李知事こそ情報を操作している。李知事が「『要求』をしたのか、それとも『問い合わせ』をしただけなのか、直接判断してほしい」として公開した京畿信用保証財団の公文書はあちこちが白くなっていて、隠されていた。銀行に対し、基本融資の項目ごとに可能かどうかを書かせ、不可能ならその理由もすべて書けという空欄があった場所だ。銀行にとって圧力と感じられる可能性がある部分はすべて隠して、単なる問い合わせの公文書だと偽装したのだ。隠された公文書の内容をChosunBizが公開して追加報道をすると、李知事は何も言わなくなった。

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