【寄稿】「ろうそく政府」でなぜ腐敗は消えなかったのか

【寄稿】「ろうそく政府」でなぜ腐敗は消えなかったのか

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先週、韓国土地住宅公社(LH)をめぐる問題について謝罪するのを見て、友人のことを思い出した。親族や従業員名義の資産や銀行口座を持つ、金持ちの家の娘婿になった人物だ。時には貧しい親族たちが借名口座から金を引き出したり、財産を売って金を受け取ったりもしたという。そうしたことを見て、彼は自身の誠実さを振り返った。

 「私も同じことをするだろうかと考えさせられた。もし自分の金ではない3億ウォン(約2900万円)を引き出すことができるなら、私はそれを取るだろうか? 完全に合法的だろうし、誰も痛手は負わない。事実、実際の持ち主は大金持ちだから、金がなくなったことすら分からないかもしれない」。しかし、彼は不正直な借名制のせいにして個人の不正直さを正当化してはならないと結論付けた。自分と妻をはじめとする家族たちの間で、また教授だった自分のことを師と仰ぐ若者たちとの間で結んだ関係に、目に見えない罪悪感の壁を築く行為だからだ。そのような考えの根っこには、どのような「完全犯罪」にもたった1人の証人、つまり神がいらっしゃるという深い確信があった。彼は神と社会、自分自身に対して清廉を守ることこそ、京畿道・東灘新都市の新しいマンションや6年分の米国での学費以上の価値があると判断したのだ。

 内部情報を利用して新都市開発予定地の土地を購入したLH職員たちはなぜあんなことをしたのだろうか? 清廉になれなかったのだろうか? 良心がないのだろうか? 我々は皆、特権を乱用することは間違いであることを知っているのに、なぜこのような腐敗は後を断たないのだろうか? 法があいまいだったり、処罰が軽かったりするから? 一部の不道徳のため? 我々の道徳律が乱れているからだろうか?

■2020年腐敗認識指数、韓国は6ランクUPの33位…日本は?

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