「米国産オウム」金与正の一言、数百人で考案

■文学的素養を持つエリートが作成

 文章作成専門部署には文学的素養を持つ金日成(キム・イルソン)総合大学語文学部、金亨稷(キム・ヒョンジク)師範大学作家養成班出身のエリートが多く抜てきされる。大学での「文章作成方法」という90分の講義で教授は労働新聞の記事を読み、作文課題を下す。例えば、教授が「韓米両国が繰り広げる合同軍事演習チームスピリットが始まった」という記事を示すと、学生が1ページ分量の宣伝文を書くといった具合だ。「最近南朝鮮の田畑ではカエルが早く土から出てきたという。チームスピリット演習に動員された戦車が通過し、驚いて飛び出してきたものだ」といった斬新かつ文学的な表現を書くことができれば高い点数が得られる。同様に各部署では忠誠競争式に過激で奇抜な宣伝表現を考案すれば、組織内で昇進し、順調に出世するというのが北朝鮮出身の専門家の話だ。

■最新の単語帳作成して研究

 文章作成専門家は自分だけの「単語帳」を持っているという。別の部署が発表した声明から良い表現をメモしておき、さらに優れた比喩や隠喩を考える。約2000人が活動するとされる朝鮮作家同盟の文学作品も参照する。体制宣伝の道具として活用される北朝鮮の文学作品には2つの軸がある。金氏一族を称賛することと米国と韓国という「敵」を卑下することだ。時代の変化とともに新しい日常用語や表現も開発しなければならない。北朝鮮だけでなく、世界的に流行する単語も収集対象だ。韓国向け声明は韓国の新聞と放送で頻繁に使われる表現を収集して取り入れる。最近の声明に登場する「自害」「自中之乱(内輪もめ)」「次元」という単語は北朝鮮で使わない韓国式の表現だ。政策の水位に合った適切な表現を使う必要もある。北朝鮮は2018年、トランプ前大統領を「路地のちんぴら」「狂犬」と非難した。米朝首脳会談を控えた時期には「米政権担当者」と表現し、ムードの緩和を図ろうとした。

 ※記事作成に当たっては、北朝鮮外交官出身の太永浩(テ・ヨンホ)国民の力議員、脱北作家のリム・イル氏、自由北韓放送のキム・ソンミン代表、建国大統一人文学研究団のチョン・ヨンソン教授による助言を得た。

■韓国が2021年世界軍事力ランキング6位、北朝鮮28位…日本は?

イ・ギムン記者
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