【コラム】中国のテスラたたき

 一時は中国政府の目にはテスラが大きく映ったようだ。テスラを中国に誘致すれば、中国のEV産業の生態系を育成できるという計算が存在した。実際に上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車、理想汽車など中国のEVスタートアップが急成長した。テスラのモデル3の基本価格(26万5740元=約449万円)であれば、もっと性能が良い国産車も多いという自信が生まれた。独フォルクスワーゲンが上海モーターショーで中国専用EVを発表するほど、中国は世界の主要自動車メーカーが重視する市場だ。

 今はテスラの勢いをそぐ時が来たと考えたのだろうか。今回の上海モーターショーでの騒動はライバルNIOの「作品」であり、背後には中国政府という巨大な後ろ盾があるという陰謀論も飛び出した。中国政府は今年2月、バッテリー爆発などに対する消費者の不満を理由にテスラに出頭を求め、中国の法律とルールを守るよう叱責し、3月には中国軍が国家安全保障を理由に軍部隊内でのテスラ車利用を禁止した。警戒とけん制がエスカレートすると、テスラの創業者イーロン・マスク氏は李克強首相が開いた「中国発展フォーラム」で低姿勢を見せた。

 今回のテスラ事件は中国で外国企業の立場がどれだけ不安定なものかを改めて見せつけた。先ごろには強制労働疑惑を理由に中国・新疆ウイグル自治区の綿花の購入を取りやめると表明したスウェーデンのアパレルブランド「H&M」が不買運動の対象になった。外国企業が中国の法律と消費者の権利を守ることが当然であるように、中国で大きな不確実性に巻き込まれるべきではないことも当然だ。

北京=キム・ナムヒ特派員

■「アジア・パワー指数」1位は米国、韓国7位…中国は?

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