韓国重工業の火を灯して50年、ポスコ第1高炉引退へ

 ポスコが今回第1高炉の引退を決定したのは、ポスコのネットゼロ(2050年までに炭素排出量を実質ゼロに削減)政策と関連があるという。最古の高炉であるがゆえ、銑鉄を生産するほど二酸化炭素も多く排出されるからだ。ポスコは今年引退する第1高炉を鉄鋼歴史博物館に転換したい構えで、海外の事例などを検討している。メキシコの工業都市モンテレーでは1900年代に建てられた高度が外形をそのまま保ち、鉄鋼博物館に改装された。1800年代後半から欧州の鉄鋼産業で重要な役割を果たしたドイツ・フェルクリンゲン製鉄所も昔の姿を保全し、ユネスコの世界文化遺産に登録された。ポスコは「海外の事例と各界各層の意見を集約し、第1高炉の最終活用案を決定する」と説明した。

■カーボンニュートラル時代に立場が逆転した電気炉と高炉

 最近環境問題が注目され、技術力と資金力の象徴だった高炉は生産現場から淘汰されようとしている。高炉は鉄鉱石、コークスなどを原料に直接銑鉄を抽出するため、コスト競争力が高く、自動車用鋼板、船を生産する厚板などさまざまな鉄鋼製品を作れるメリットがある。しかし、石炭を加工したコークスが主原料として使われるため、炭素排出量が多いというデメリットがある。これに対し、電気を利用してスクラップを溶解し、鉄鋼製品を生産する電気炉はコスト競争力が高炉よりは劣るが、炭素排出量は高炉工法の20-25%にすぎず、最近は環境に優しい製鉄方法として注目されている。100%高炉で鉄鋼製品を生産してきたポスコとしては、戦略修正が避けられない状況だ。世界的にも同様の動きが起きている。120年の歴史を持つ米鉄鋼大手USスチールも最近、高炉稼働を休止し、電気炉への投資を増やしている。

■2021年世界競争力ランキング1位はスイス、中国16位、韓国23位…日本は?

辛殷珍(シン・ウンジン)記者
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  • ▲1973年6月9日午前、浦項製鉄(現ポスコ)の第1高炉から最初の溶融銑鉄が流れ出た。かつらなどを輸出してきた韓国の「産業鉄器時代」を切り開いた第1高炉は50年近くの稼働を終え、今年引退する予定だ。/ポスコ

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