韓国気象庁の予報官「台風進路の正確度、初めて米国と日本を上回りました」

韓国に4人しかいない気象庁台風予報官のキム・ソンス、キム・ヨンナム、キム・ドンジン、チェ・ウィスの各氏

 「台風予報官は台風を戦争のように取り扱います。普段は監視・警戒勤務ですが韓半島が影響圏内に入ると戦時状況に突入し、台風が消え去るまで24時間体制でその位置と強さを追跡します。国民にできるだけ被害が発生しないことが目標です」

 昨年1年間に韓国には「ルピート(9号)」「オーマイス(12号)」「チャンス(14号)」の三つの台風が上陸、あるいは直接の影響を及ぼしたが、人命被害は出なかった。正確な予報が被害を最小限に抑える大きな役割を果たしたのだ。国ごとの台風予測レベルを示す「72時間台風進路予報誤差」において韓国は一昨年185キロを記録し、米国(240キロ)と日本(225キロ)を初めて上回っていたことが先日発表された。2010年の時点で韓国の台風距離誤差は349キロに達していたが、それから10年で韓国よりも人工衛星技術が発達した先進国を追い抜いたのだ。

 この成果は韓国に4人しかいない気象庁台風予報官によるものだ。キム・ソンス予報官(49)、キム・ヨンナム予報官(47)、キム・ドンジン予報官(46)、チェ・ウィス予報官(44)の4人だ。先日済州道西帰浦市の国家台風センターで取材に応じた4人は「予報官たちは毎年夏に訪れる台風と1年中戦争する準備をしている」「異常気象で台風の進路予測は難しくなったが、今年も人命被害が出ないよう正確度を高めることが目標」と述べた。

 台風予報官らが勤務する国家台風センターは済州道西帰浦市南原邑の丘の上にある。一種の前方見張り所だ。台風の影響圏に最初に入る済州道南端で、見張りの兵士が立つのと同じように台風を待ち構えているのだ。

 実際に彼らの勤務方式は最前線の兵士とよく似ている。通常は4交代で勤務し、世界各地で発生する台風の発生や発達状況を「監視」する。韓半島が間接影響圏となる北緯25度、東経135度以内に台風が入れば「警戒」に転換し、予報官2人ずつの3交代体制となる。「北緯28度、東経132度」に近づけば「非常1級」体制となり、事実上の戦争が始まる。24時間体制で台風の位置や強度を追跡し、韓半島が台風の影響圏内から抜け出すまで災害気象対応チーム、国家気象衛星センター、気象レーダーセンター、数値モデリングセンターなどと台風情報をリアルタイムで共有する。キム・ヨンナム予報官は「台風が近づけば台風情報は3時間、台風の位置は1時間ごとに気象速報として発表する。文字通り『戦争状態』だ」と語る。

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  • ▲済州道西帰浦市の国家台風センター台風状況室に集まり、昨年韓半島に上陸した台風14号「チャントゥ」の進路を再確認する台風予報官たち。6月7日撮影。

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