韓国気象庁の予報官「台風進路の正確度、初めて米国と日本を上回りました」

韓国に4人しかいない気象庁台風予報官のキム・ソンス、キム・ヨンナム、キム・ドンジン、チェ・ウィスの各氏

 台風は単一気象現象の中で被害の規模が最も大きい災害だ。人命被害に直結するだけに予報官たちもヒヤリとする瞬間に直面するときが多い。キム・ドンジン予報官によると、台風のど真ん中のしばし静穏な状態を意味する「台風の目」という表現はそれなりに理由があるという。キム・ドンジン予報官は「2017年に台風『ナーリー』(6号)で済州道に大きな被害が発生したとき、『台風の目』は西帰浦市表善面を通過していました。強風の中で一瞬静かになったので、漁師たちは壊れた船を修理しに防波堤に出ました。城山気象台の職員がすぐに発見して避難させましたが、30分後には非常に強い暴風雨が再び済州を飲み込み、大きな被害が発生しました」と説明した。予報官らが最もやりがいを感じるときも「人命被害が出ず、財産上の被害も少なかったとき」だという。チェ・ウィス予報官は「昨年他国に比べて韓国の予報がより正確だったという事実よりも、人命被害が全くなかったという結果を聞いたときの方がうれしかった」と笑顔で語った。

 台風予報官らは冬には「冬季訓練」を行い翌年の台風に備える。中国は極地軌道に4機の人工衛星を飛ばし台風の構造や強さを分析しているが、韓国の衛星は「千里眼」1基しかない。韓国政府からの支援は不十分だが、その一方で冬の間に台風予報官らを台風関連の国際会議などに参加させ、数値モデルを練り上げ精緻化するなどして埋め合わせている。予報官らにとって心配の種は複数の気象アプリが公開され、不正確な情報が広がることだ。キム・ソンス予報官は「海外の気象アプリの情報と気象庁の予報を比較し、混乱が生じるケースがあるが、韓国の台風については韓国気象庁が分析した情報が最も正確ということを知ってもらえたらうれしい」と述べた。

 彼らは台風との最前線で死闘を続けているが、その待遇はあまり良くない。センターは近くに公共交通機関も通っていない場所にあるため、これといった飲食店もなく、職員たちの昼食も1人の調理師が全て担当している。平日の夕食や週末になると職員たちはインスタントラーメンや弁当で食事を解決する。「へき地勤務手当」も月3万ウォン(約3100円)で、これは1日当たり1000ウォン(約105円)だ。これでは職員を募集しても希望者は1人も来ない。それでも予報官たちは「国家台風センターを去るつもりはない」と語る。「台風関連の業務に関して言えば、専門性を持つ予報官1人の離脱は国全体からすれば大きな損失です。少なくとも韓国では『台風で命を失った』と言われないように実力でもっと『武装』します」

パク・サンヒョン記者

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  • ▲済州道西帰浦市の国家台風センター台風状況室に集まり、昨年韓半島に上陸した台風14号「チャントゥ」の進路を再確認する台風予報官たち。6月7日撮影。

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