北朝鮮のハマス式奇襲攻撃を防ぐには【寄稿】

 さる10月7日、ハマスの奇襲攻撃にイスラエルがなすすべなくやられてしまう様子を見て心配になった韓国国民は多い。北朝鮮がハマス式の奇襲攻撃を敢行したら、韓国軍はきちんと防ぐことができるかどうかについての懸念だ。ガザ地区での事態を契機に、9・19南北軍事合意を巡る論争も苛烈になりつつある。結論から言うと、韓国軍は北朝鮮の長射程砲の脅威を即刻制圧する軍事的力量を備えているものの、情報面での失敗が対応の失敗を招きかねない。イスラエルが遭遇した災厄の本質も、情報面での失敗にある。圧倒的な軍事上の力量を有していても、情報面での失敗を埋め合わせるのは難しい。

【動画】1発でサッカー場3面分を焦土化! 韓国製多連装ロケット砲「天舞」

 軍事的には、韓国軍が北朝鮮の長射程砲戦力を制圧するのはイスラエル軍(IDF)がハマスを制圧するより容易だ。ハマスは、クモの巣のようにつながった数百キロものガザ地下通路を利用して神出鬼没の活動を展開し、主に民家、幼稚園、病院など民間施設を「盾」としてロケットを発射する。発射位置をIDFが事前に探知するのは困難で、ハマスの掃討やガザ地区占領をやろうと思ったら多数の民間人の死傷は避けられず、イスラエルは国際的な指弾と孤立を招くことになる。

 他方、北朝鮮の場合、全ての長射程砲が地下坑道に配備されており、発射するときは坑道の外の射撃陣地へ移動する。韓国軍は地下坑道と射撃陣地の正確な座標を把握しており、幸いにも、標的の近くに民間人はいない。現在戦力化が進んでいる超精密戦術地対地ミサイル(KTSSM)の配備が完了すれば、一挙に坑道の入り口を破壊して坑道内の北朝鮮砲兵を壊滅させることができる。既に射撃陣地へ出てきた長射程砲は、砲弾の再装てんのために坑道陣地へ戻ることができず、韓国軍の砲撃に無防備にさらされる。技術的には、北朝鮮軍の340門の長射程砲を10分以内に無力化することも不可能ではない。ただし、こうした最良のシナリオは、北朝鮮の全ての核ミサイル基地と長射程砲陣地に対する制約なき監視・偵察が可能で、韓国軍が高度な訓練を通して打撃アセット(軍事資産)の運用に熟達しているという、二つの条件を前提とするものだ。もちろん、北朝鮮が長射程砲で韓国首都圏を砲撃することは全面戦を意味し、核ミサイルを手元に残したままわざわざ長射程砲で全面戦を開始する理由はなく、在来式の砲撃戦が核戦争へと拡大する危険性も排除し得ないが、ここでは在来式の攻撃に局限された状況のみを想定してみた。

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=UTOIMAGE

right

あわせて読みたい