中国企業が韓国メディアになりすまして反米記事を流布…黒幕がいるはずだ【11月15日付社説】

 中国メディア広報会社が韓国メディアになりすまし、38の偽韓国メディアウェブサイトを通じて米国を非難し、中国を擁護する記事を掲載していたことが分かった。これらの広報会社は韓国で実際に存在しない地域メディアと誤解しやすい名称やアドレスを持つサイトを開設し「在韓米軍の細菌実験室で行われる真っ暗な実験」「韓国は主権国家なのか、あるいは米国の植民地なのか?」「中国政府によるコロナ対策の成果」など親中、反米のコンテンツを広めていたという。韓国国内で世論操作を行おうとしたのだ。

【リスト】中国企業が運営する38の韓国メディアなりすましサイト

 韓国の情報機関である国家情報院はすでにこれらのサイトを遮断したが、それだけでは対策は不十分だ。彼らは民間企業を名乗っているが、中国の政治体制の特性からその黒幕が中国共産党の可能性も考えられる。これは外交摩擦を避けるため曖昧に終わらせる問題ではなく、必ず黒幕を突き止め責任を追及しなければならない。

 中国が全世界でサイバー心理戦を行っている事実はすでに周知の事実だ。今回の事件も尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後に強化されている韓米同盟に亀裂を生じさせるためのさまざまな工作の一つだろう。中国は共産党の目的を達成するためには国際的な規範はもちろん、普遍的な人権でさえ完全に無視する国だ。全世界50以上の国に100カ所以上の秘密警察署を極秘に設置し、スパイ気球を飛ばして米国など世界40カ国の領空を侵犯した。さらに南シナ海では周辺国の領海を侵犯し人口島を造成した。韓国の防空識別区域も随時侵犯し、「在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)報復」に加え「三不」まで押し付けた。

 このように他国の主権を平気で侵害しながら、韓国が台湾問題で「平和の原則」に言及するだけで「火で燃えて死ぬだろう」などと罵声を浴びせた。中国国内ではスパイの範囲を拡大する法律を制定し、外国人を恣意(しい)的に逮捕・拘禁し、外国企業に対しては思いのままに捜査を行っている。米中対立が激しくなるほど中国によるこれらの行動はさらにエスカレートするだろう。最近は中国の情報機関である国家安全部が韓国の青瓦台(韓国大統領府)と韓国外交部(省に相当)にサイバー攻撃を仕掛けていた事実も明らかになった。

 今回の事件はフェイクニュースに弱い韓国のネット環境も影響している。先日の杭州アジア大会で韓国と中国のサッカーの試合をテキストで中継していた韓国のポータルサイトでは、「90%以上が中国を応援」というあり得ない投票結果も出た。

 韓国では来年国会議員選挙を控えており、選挙結果に影響力を行使するための動きも今後出てくるだろう。これを機会に外国からの世論の捏造(ねつぞう)や操作を徹底して排除するシステムを立ちあげ、インターネット上の書き込みには国籍やアクセスした国の明記を義務づけるなどの法律を早期に成立させねばならない。

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  • ▲中国のメディア広報会社「Haimai」が制作した韓国メディアなりすましサイト/国家情報院

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