崔潤喜(チェ・ユンヒ)合同参謀本部議長候補者が今月11日、韓国軍の空母保有に向けた必要性検討計画を明らかにしたことに関連し、韓国海軍が昨年、中日の空母保有に対抗する軽空母保有の必要性などに関する研究を国防研究所に委託して進めていたことが分かった。海軍内部でも2030年までに軽空母を保有するための3段階の戦略を検討したとされる。

■領有権紛争に対処

 国会国防委員会に所属する鄭熙秀(チョン・ヒス)議員(セヌリ党)は13日、政府から入手した資料に基づき、海軍が国防研究所に「周辺国の空母戦力保有に伴う海軍の戦略樹立および戦力所要検証」と題する研究を依頼し、昨年11月に最終報告書を受け取っていることを明らかにした。同報告書は有事に際し、速やかに海洋領土を保護・奪還するほか、周辺国に対する戦略的効果を最大化するため「軽空母型多目的揚陸艦」を少なくとも2隻保有すべきだと指摘する内容だ。その方法として、独島級揚陸艦の2番艦を2万-3万トン級で建造し、それと並行する形で、既存の独島級揚陸艦を垂直離着陸が可能な形に改造する案を示した。

 消息筋によると、海軍内部では、独島級揚陸艦の改造(第1段階)、独島級揚陸艦の2番艦を軽空母型多目的揚陸艦として建造(第2段階)、2028-36年に3万トン級軽空母2隻確保(第3段階)など多段階の軽空母保有計画が検討されたという。

 海軍が独島級揚陸艦を建造している韓進重工業に費用算定を依頼したところ、予算36億ウォン(約3億3000万円)で、半年間あれば改造が可能だとの回答があったとされる。

 こうした動きは「空母導入は中長期の戦力増強計画には入っておらず、長期政策課題にのみ含まれている」としていた海軍の公式な立場とは大きな差がある。

 海軍の一連の構想は、独島(日本名・竹島)、離於島(中国名・蘇岩礁)で領有権問題をはじめとする紛争が起きた場合、周辺国による挑発を抑止する目的がある。韓国軍消息筋は「周辺国との領土紛争時、地上の基地から発進する航空機は対応に30-40分以上かかるが、紛争海域に出動している空母艦載機は2分以内に緊急対応が可能だ」と説明した。また、北朝鮮がペンニョン島、延坪島など韓国北西沖の島しょ部を占領しようとした場合、現在のように本土から対応戦力を出動させるのに比べ、はるかに強力かつ迅速な対応が可能になる。

■中型空母は費用対効果望めず

 海軍が米国の9万-10万トン級大型空母や中国が昨年配備した6万-7万トン級の中型空母ではなく、軽空母の保有を検討しているのは、中型・大型空母は費用対効果の面で韓国には適さないと判断しているためだ。

 米国の主力空母であるニミッツ級は、建造費が5兆-7兆ウォン(約4590億-6420億円)、維持費(艦載機を含む)に年間8000億ウォン(約734億円)以上が掛かる。これに対し、軽空母は建造費が1兆-1兆5000億ウォン(約920億-1380億円)、維持費が300億-400億ウォン(約28億-37億円)と推定されている。昨年海軍に提出された報告書も「中国並みの空母の保有は韓国の立場では行き過ぎた選択だ」と指摘している。

 このため、垂直離着陸機のハリアー、F35Bや上陸作戦用ヘリコプターを搭載し、上陸作戦を支援することが可能な多目的軽空母が韓国には適切な選択だと判断した格好だ。イタリアのカブール級(2万7000トン級)、スペインのフアン・カルロス級(2万7500トン級)がモデルに数えられる。

 海軍が中型・大型空母より費用が安くて済む軽空母の保有を推進するとしても、予算確保、効率性の面で克服すべき課題は多い。海軍は現在、イージス艦3隻の追加建造など3個機動戦団の構築を最優先している。1個機動戦団の構築には大雑把に10兆ウォン(約9170億円)前後の費用が掛かると推定される。海軍は現在、事実上1個機動戦団を保有した状態だ。一部には、韓米の連合戦力などを考慮すると、空母に対処する軍備として、潜水艦が軽空母より適しているとの指摘もある。

ホーム TOP