2000年以降に自然科学系のノーベル賞を受賞した日本人13人のうち、6人が地方国立大である名古屋大を卒業したか在籍した研究者だ。このため、名古屋大は「ノーベル賞製造工場」との異名を取る。これまでの自然科学系のノーベル賞受賞者(19人)の卒業学部は名古屋大が3人で、京都大(6人)と東大(4人)に次ぐ。昨年にノーベル物理学賞を共同受賞した赤崎勇氏と天野浩氏は、名古屋大で師弟関係にあった。韓国からは一人も出ていない自然科学系のノーベル賞受賞者を多数輩出した「秘訣(ひけつ)」について、名古屋大の浜口道成総長は先月25日、総長室で応じたインタビューで「地方の小さな大学が持つ強みを生かした結果だ」と述べた。以下は浜口総長との一問一答。

-名古屋大は地方の小さな大学なのか。

 「教職員数は東大の3分の1だ。全国から最高の成績の学生が集まる東大と違い、名古屋大の学生は愛知県出身者が50%、周辺地域を含めると80%だ」

-学部出身の受賞者も3人いる。

 「今年(2014年)ノーベル賞を受賞した(同大の)天野教授は、高校のとき科学があまり好きではなかった。だが、名古屋大入学後に科学に興味を持ち研究にまい進し、人類の歴史を変える成果を出した。早く、正確な解答を求める大学入試では、学生の能力、特に科学者の資質を評価することはできない。名古屋大は試験の成績は低くても潜在能力のある学生たちが入学し、才能を開花させる大学だ」

-地方大学は研究に不利ではないのか。

 「正反対だ。『箱根関を越えるな』という言葉がある。箱根関は江戸時代の地方から東京に向かう道の関所を指すが、東大など中央を意識せず、独自に判断して研究しろという意味だ」

-ノーベル賞受賞者の共通点は。

 「失敗に挫折しない粘り強さ、流行に惑わされない鈍感力だと思う。天野教授は実験で1000回以上失敗したが、挫折せずに昼夜を問わず実験を続けた。流行に敏感な大都市出身の学生よりも地方出身者が多い名古屋大は、そうした面で有利だと思う」

-名古屋大の教授陣をどう評価するか。

 「最も優秀だというより、個性の強い研究者たちだ。名古屋大は東大など七つの帝国大学のうち最後に設立されたため、既存の大学の研究システムや学風に反旗を翻した、自由な雰囲気の若手研究者が自然と集まった。その自由さが名古屋大を代表する学風だ。全国から個性的な研究者が集まり、競い合い、刺激し合いながら新しい研究をしている。名古屋大出身の教授の割合が非常に低いが、特に物理学科は大半が他大学の出身者だ。ノーベル賞受賞者らは『名古屋大にいなかったら学会のボスで(教授)人生を終えていただろう』と話す。名古屋大にはそれだけ研究に対する刺激が多いという意味だ」

-名古屋大は産学連携が活発なのか。

 「名古屋大のキャンパスには壁がない。物理的な壁がないだけでなく、産学間・学問間の壁もない。最近の研究において物理、化学、医学といった区分は無意味だ。融合、共同研究が活発で、積極的に研究に挑戦するため、教授1人当たりの外部研究支援金が全国の大学で1位になった」

-教授の採用に原則があるのか。

 「教授委員会が面接して選抜しているが、『ネイチャー』や『サイエンス』など著名な科学誌への論文掲載本数で評価することはない。教授らが候補者との面接で、どれだけ独創的な研究ができるかを評価する。名古屋大の出身者らは国内の学会誌に掲載した論文でノーベル賞を受賞した」

-名古屋大のノーベル賞受賞者は受賞にあたり必ず師匠に言及することで知られる。

 「名古屋大の師弟関係は水平的だ。教え子2人がノーベル賞を受賞した坂田昌一・元教授(1911-70年)は教え子たちに『先生』と呼ばせなかった。研究においては誰もが同等だとの理由からだった。ノーベル賞受賞者の下村脩教授の師匠である平田義正・元教授(1915-2000年)は、月給を費やして教え子の実験準備を手助けするほど献身的だった。教え子たちの才能を見いだし、能力を発揮できるよう手助けするのが師匠の役目だ」

-就職率はどうか。

 「就職率は98%を超え、日本の大学では最高水準だ。学生が大企業にばかり固執しないので就職率が高い。半分ほどは中小企業を選ぶ。東京の大企業に内定しても、地方の企業を選ぶ学生も珍しくない。中小企業の方がはるかに責任感を持ち、自分の能力を発揮できるためだ。自分の適性に合った、能力を発揮できる企業を選ぶことが重要だ」

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