日本の法務省入国管理局のウェブサイトが今月10日、一時まひした。不法滞在外国人を通報する窓口に9日からネットユーザーが「集団通報」を行い、サーバーがダウンしたためだ。通報者は「近所に追放すべき在日が住んでいる。追い出した上で報奨金が欲しい」などといった電子メールを送りつけた。

 法務省はサーバーを復旧し、ウェブサイトには「不法滞在者と思われる外国人に関する情報を受け付けるものであり,適法に滞在している外国人に対する誹謗中傷は固くお断りする」「誹謗中傷メールなどを防ぐため,情報受付に電子メールを送られた方のIPアドレスを自動的に取得している」という案内文を掲載した。外国人と記述しているが、事実上在日同胞(在日韓国人)を念頭に置いた措置だ。

 今月9日以降、入国管理局になぜこうしたメールが殺到したのか。21日付朝日新聞は「(日本人の間に)7月9日以降、在日韓国人を追放するという悪質なうわさが広がり、法務省が措置を講じたものだ」と報じた。

 本紙の取材によると、実際に日本のインターネット、ツイッターには今月初めから「7月9日から周辺に『在日』がいると政府に通報すれば、報奨金がもらえる」という情報が出回り始めた。「報奨金の金額は1人当たり5万円」「在日1家族(4人)を通報すれば最大20万円もらえる」などと扇動する人もいた。そういう人々が6月に徐々に増え、7月初めにピークに達した。7月9日以降は入管に「町内に在日がいる」というメールが相次いだ。ネットユーザーの一部はフェイスブックで在日同胞を検索し、無作為に通報したり、共有掲示板で通報状況を報告し合ったりした。

 なぜ7月9日だったのか。日本政府は10年以上日本に居住した定住外国人に永住権を与えている。これとは別に、日帝(日本帝国主義)による強制占領期(植民地支配期)に韓半島(朝鮮半島)と台湾から日本に渡り定着したか、強制占領からの解放後にも本国に帰らずに残った人とその子孫に国籍の代わりに特別永住権を与えている。在日同胞はそれに該当する。在日同胞は「外国人登録証明書」を身分証として使ってきたが、2012年7月に日本の住民基本台帳法が改正され、特別永住権保有者には「特別永住者証明書」という新たな身分証に更新が必要となった。7月8日は在日同胞が新身分証への切り替えを申請する締め切りだった。

 「7月9日のデマ」はそこで生じた。今年初めから日本の右翼勢力のツイッターアカウントとブログに「7・9在日朝鮮人追放日」と題する書き込みが相次ぎ始めた。デマだが内容は具体的だった。「7月9日から周囲の在日を警察に通報し、日本から追い出せばよい」「7月9日から在日の通名使用が全面的に禁止される。通名を使えば不法滞在と見なされ強制送還される」「7月9日まで我慢しろ。犯罪と売春婦の巣窟・在日がついに本国に追放される」といったものだった。

 先月特別永住権証明書への切り替えを終えた在日同胞Aさんは「普段から中傷されながら暮らしているので最初は無視したが、意外にも多くの日本人が私を追放対象だと思っていたので、驚いて区役所と大使館に確認した」と話した。Aさんは「ここで生まれ育ったのに不法滞在扱いされるとは、悪質なデマだとしてもあまりにつらかった」と話した。

 在日同胞4世のBさんはツイッターに「右翼サイトが(勝手に)『不法滞在者取り締まりリスト』を作成し管理しているようだ。流言飛語だと思って気にしないようにしたが、ますます暮らすのが怖くなった。関東大震災後の朝鮮人虐殺を目撃した思いだ」と書いた。東京の民団中央本部のソ・スンジャ生活部局長は「在日同胞が7月9日以降追放されるというデマを聞いた同胞らが日本全国の民団事務所に相談の電話をかけてきている」と話した。

 日本の外務省関係者は「『特別永住者証明書』の発給は強制送還と全く関係ない。今後もウェブサイトを通じ、詳細に案内していく」と説明した。

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