「リディア・コーってすごいね」。ゴルフにあまり興味がなさそうだった友人が二日前、韓国系ニュージーランド人の女性プロゴルファー、リディア・コーについて語り出したことから、どんなところがそんなにすごいと感じたのか、かえって好奇心を持つようになった。

 英国に留学していたその友人は「若いスポーツ選手なのにあんなに受け答えが上手だなんて」と驚いた。そして「質問の文脈を理解して周囲の人々に配慮しながらも、書き起こしてもきちんとした文章になる話しぶりに感心した」と語った。そのインタビューの受け答えのうまさは米国のゴルフ専門メディア「ゴルフダイジェスト」も認めたほどだ。

 全米女子プロゴルフ(LPGA)ツアーで韓国の女子選手たちが活躍するようになって久しいが、インタビューのたびにハラハラする。韓国語で話して通訳してもらうにしろ、つたない英語で勇気を持って話すにしろ、韓国人選手たちは人前で自分の考えを語る状況に慣れてないからだ。少しずつ良くなっているとは感じているが、それでもガッカリすることが多い。韓国人選手の中でインタビューの受け答えが最も素晴らしいと言われている朴仁妃(パク・インビ)も、中学・高校時代を米国で過ごした。

 こうした国々では、スポーツ選手だからと言って学校の授業に出ないのは想像も付かないことだ。リディア・コーにコメント上手の秘訣(ひけつ)を尋ねたところ「ニュージーランドではプレゼンテーションをしたりディベートをしたりする授業が多いので、それが役に立っているのだと思う」という答えが返ってきた。

 リディア・コーは子どものころ、週に約35時間ゴルフの練習をしたそうだ。普通のニュージーランド人の子どもに比べたら多いが、一日の全てをゴルフにつぎ込む韓国のジュニア選手たちに比べると実に少ない。週に1・2回学校に行ってあいさつだけして帰ってくるジュニア選手も少なくないのが韓国の現実だ。リディア・コーの磨き抜かれたゴルフの腕前、のんびりしているがユーモアのセンスあふれる言動は、ニュージーランド・スタイルと韓国スタイルが持つ長所が溶け込んでいるためだろう。

 「もしリディア・コーがコ・ボギョンという名前で韓国でゴルフを続けていたら、どうなっていただろうか」と思うときがある。それでもゴルフは上達しただろうが、今のリディア・コーの長所だと言われているゴルフ以外の部分では首をかしげたくなる。また、その逆も想像してみた。練習時間では既に十分か、それ以上の韓国人選手たちに、朴仁妃やリディア・コーのような中学・高校生活をさせてやれるか、ということだ。ゴルフの実力には全く問題がないということは朴仁妃とリディア・コーが示してくれた。できれば英語・運動生理学・読書・世界地理・プレゼンテーション力など、ジュニア選手たちが関心を持っている授業を1日6-8時間受けられれば理想的だ。「勉強しないスポーツ選手」に頭を抱えているスポーツ団体なら研究に値する課題だろう。

 韓国国内で先月行われたLPGAツアー大会で海外の選手たちと試合をしたある選手は「楽しみながらゴルフをするということがどういうことなのか初めて分かった。年の差やキャリアに関係なく語り合い、失敗したときは腹を立てるけれど、すぐに楽しそうな表情に戻る姿が印象的だった」と語った。子どものころから息つく暇もなく競争し続け、ゴルフだけしてきた自分自身を振り返るようになったそうだ。

 来シーズンから韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアーは本格的に外国人選手たちに門戸を開く。そして、中国やベトナムなど海外で多くの大会を行うようになる。それだけ「ゴルフ韓流」は世界的に人気の商品になったのだ。だが「すきのないショット」と「おしゃれな着こなし」だけでは世界のゴルフの手本になれないだろう。

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