6月21日、大田のある中学1年生の教室で起こった出来事だ。ある女性教員は、授業中に教室の後方から嫌な気配を感じた。男子生徒9人が自分の身体の一部を触って淫乱な行為をしていたのだ。衝撃を受けた同教員は、学校当局にこのことを知らせた。同校は、学院(学習塾)が密集している都心の有名地域にある。こんなことが起こるのは、何も同校に限ったことではない。

■エスカレートする学校でのセクハラ

 釜山のある女性教員は6月26日、授業のために男子生徒ばかりのクラスに入ったところ、驚きのあまり言葉を失った。黒板に生理用ナプキンがこれ見よがしに貼り付けられていたのだ。同教員は「誰がやったのか」と問いただしたものの、生徒たちはただくすくす笑うだけだった。同教員は「怒ったり敏感に反応したりすれば、冷やかしの対象になると思った。知らんぷりして授業しようと努力したが、顔がほてって恥ずかしかった。後で教務室に帰って思いっ切り泣いた」という。

 男子中学で担任を受け持って2年目になる20代のある女性教員は「新学期が恐ろしい」と胸中を明かす。「教員への小手調べ」と言わんばかりに手の込んだ「いたずら」が日増しにエスカレートしているためだ。今年3月には、3、4人の生徒が「先生、風船です」と言って顔に風船を突き付けてきた。見てみるとコンドームだった。また、わいせつな言葉を使った冗談も深刻化している。生徒が教師に「先生、○○(特定の性行為を指す言葉)したことがありますか」「センセ、キモチー(『先生、気持ちいい』の意。成人向け動画に出て来るせりふ)」などと話し掛けてくるケースもある。小中高の教員が「生徒にセクハラされた」と届け出た件数は2011年の52件から昨年は112件と2倍以上に増えた。

■求められる対策づくり

 「大田の中学校で起こったセクハラ」事件と関連し、同校の学校教権保護委員会と善導委員会は、当生徒たちに対し「特別教育5日」の処分を下すことに決めた。教員の教権を侵害した場合、校内・社会奉仕、特別教育、停学、退学など懲戒措置を与えるよう定めた「小中等教育法」の施行令によるものだ。小・中学校は、義務教育期間に相当するため退学措置は下せない。

 教権侵害を阻むために「教権保護法」という法律が存在する。学校長がセクハラのような教権侵害事件を認知した場合、必ず教育当局に報告しなければならない。しかし、現場の教員らは「『死後薬方文(死後の処方箋、つまり後の祭りの意)』にすぎず、生徒に対する処罰が軽いため効果はゼロ」と指摘する。一方で「うまく生徒を教育できなかった教員が悪い」と、教員を責めるケースもあるという。さらには男性教員らが「最近の子どもたちの冗談も理解できないのか。その程度のいたずらはいたずらの部類に入らない」と包み隠してしまうケースも増えている。以前は、体罰という手段があったが、今ではこれも法律で禁じられている。

 ドイツでは、小学生でも教権を深刻に侵害した場合、停学や強制転校などの罰が下される。米国ウィスコンシン州では、教員団体が教員と共に教権を侵害した生徒を相手取って民事訴訟を起こす。事件発生とともに加害生徒は教員から15メートル以内に接近することが禁じられる。その他の生徒の学習権と教権をまずは保障するためだ。韓国教員団体総連合会のキム・ジェチョル・スポークスマンは「韓国も教権侵害が深刻だと教員が判断した場合、捜査機関に自動的に届け出ることができるようにし、加害生徒の強制転校処分などを下す法的根拠がまとめられるべきだ」と提案した。

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