忠清南道の安熙正(アン・ヒジョン)知事(52)=写真=の秘書が同氏に性的暴行を受けたと5日に告白、波紋が広がっている。安熙正氏の政務秘書キム・ジウン氏(33)は同日、総合編成チャンネルJTBCのニュース番組『ニュースルーム』に出演、「安熙正知事の随行秘書を務めた昨年6月末から8カ月間に4回の性的暴行と頻繁なセクハラ(性的嫌がらせ)を受けた」と主張した。文化体育観光部(省に相当)や未来創造科学部などに勤務していたキム・ジウン氏は昨年の大統領選挙候補者を決める「共に民主党」内の予備選挙前に安熙正知事の選挙運動本部に合流、広報企画チーム長を務めた。大統領選挙直後は道庁所属随行秘書として特別採用され、同氏の側近として働いた。

 キム・ジウン氏は「昨年7月と9月のロシア・スイス出張など、ほとんどの随行日程後に性的暴行が振るわれた。先月25日に(性暴力被害を告発する)『Me too運動』が社会全般に広がった時も性的暴行があった。安熙正氏は『君に申し訳ない』と何度も謝罪し、電話もしてきた」と語った。

 これについて安熙正氏の秘書室は「不適切な性的関係は認めるが、合意の上での関係だった」と釈明した。ところが、安熙正氏はその後、フェイスブックに「合意の上での関係だったという秘書室のコメントは間違っている。きょう付で知事職を退き、一切の政治活動を中断する」と明らかにした。

 所属する共に民主党は同日夜、緊急最高委員会を開き、安熙正氏に対する離党・除名措置手続きを進めることにした。キム・ジウン氏の弁護団は早ければ6日にも検察に安熙正氏を性的暴行で刑事告訴することを決めた。

 安熙正氏の釈明の真偽はともかく、与党・共に民主党の大統領選有力候補だった同氏にとって政治的打撃は計り知れないと見られている。しかも、同氏はこの報道の直前、あるイベントで「Me too運動」を支持し、「私たちは男性中心の権力秩序の中で生きてきた。このような暴力はすべて嫌がらせであり、差別だ」と語っていた。野党・自由韓国党の張済元(チャン・ジェウォン)首席広報官は「安熙正氏はMe too運動に言及しながら再び性的暴行を振るっていたというのだから、裏切られたという思いに身が震える」と言った。

 安熙正氏は1989年に統一民主党の金徳竜(キム・トクリョン)議員のもとで働き、政界に初めて進出した。94年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領と初めて会った後、補佐官・政務チーム長などを務め、親盧派の実力者と呼ばれた。しかし、盧武鉉政権時の大統領選挙資金捜査では巨額の違法選挙資金授受容疑で逮捕された。2010年に忠清南道知事に当選して復活、17年の大統領選挙候補者を決める共に民主党内予備選挙では文在寅(ムン・ジェイン)氏(現大統領)と競い合い、2位になったものの、中道・保守をまとめる同党の次期有力者に浮上していた。

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