サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会グループリーグF組第3節・韓国対ドイツ戦が行われる前日だった26日、韓国代表チームの公式練習前。雷の音と共に空からひょうが降ってきて、カザン・アリーナで予定されていた韓国の公式練習が取り消された。すると、ひょうがやむのを待っていた記者たちに、地元ボランティアが「おめでとう」と声をかけた。このボランティアは「カザンでは、誰かが大事なことをする前に雷が鳴って大雨になると、必ずその人に良いことがあると信じられている。韓国の練習前に雷が鳴ったのだから、明日は良い結果が出るだろう」と説明した。そして、隣にいたドイツの記者には「残念だね」と言った。

 27日(現地時間)、驚いたことにその言葉は現実のものとなった。韓国はカザン・アリーナで、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング1位であり、前大会で優勝したドイツに2-0で勝ったのだ。ドイツは韓国に負け、W杯が始まって以来、初めてグループリーグ脱落という屈辱を味わった。ドイツがW杯本選でアジアのチームに負けたのも初めてだった。

 ドイツのW杯での成績は優勝4回・準優勝4回・3位4回だ。最近4大会では、すべてベスト4入りしている。韓国戦が行われたカザンで、ドイツのサポーターが意外と少なかったのも、ほとんどのサポーターはグループリーグ突破後の観戦予定を組んでいたからだった。

 W杯の歴史に残る大異変を英紙ガーディアンは「世界が終わりを迎える際には何かの兆候がある。例えば、雷が鳴る空の下でフクロウがタカを捕らえて食べるという。しかし、ドイツは晴れて気持ちの良い午後、80年ぶりにグループリーグで脱落した」と報じた。

 英BBCは「前大会優勝チームのドイツが韓国に敗れてW杯グループリーグで敗退したのは、大会史上最も驚くべき出来事の1つだ」と報じた。中国の新華社通信は「韓国がドイツの戦車をひっくり返した」と表現した。

 海外のブックメーカーのサイトでは「カザンの奇跡」を歴代W杯で最高の大番狂わせの3位に挙げた。1位は、1950年のW杯ブラジル大会で米国が「サッカーの本家本元」イングランドに1-0で勝った試合だ。「サッカーは単純だ。両チームの22人が90分間、ボールを追いかけて、最終的にドイツが勝つゲームだ」と言っていたイングランドのサッカーのレジェンド、ゲーリー・リネカーは、自身が言ったサッカーの定義を「ドイツが常に勝つというわけではないゲームだ」と訂正した。

 ただ、大番狂わせにしては韓国がいい試合をした。「最後まで走る」をドイツ戦のモットーにしていた韓国は、この試合で合計118キロメートル走った。韓国の選手が休む間もなく走ってプレッシャーを与えると、ドイツは慌て、ペースを乱してしまった。韓国は、アディショナルタイムに焦ったドイツが前方に出てきた「すき」を突いた。金英権(キム・ヨングォン)が後半48分、CKの混戦からこぼれたボールを蹴り、先制ゴールを決めた。3分後、ドイツのGKマヌエル・ノイアーがゴールを空けて上がっていたすきに朱世鐘(チュ・セジョン)のロングパスを受けたソン・フンミンがとどめのゴールを決め、歴史に残る大番狂わせが生まれた。

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