▲イラスト=UTOIMAGE

 サッカー男子までもがパリ五輪出場を逃し、パリ五輪韓国代表選手団の規模は当初予想されていた170人台から150人台にまでさらに減るものとみられている。1984年ロサンゼルス五輪の210人以降、五輪大会で維持してきた200人というマジノ線(最終防衛ライン)が崩れたのだ。

 メダル獲得数の見通しも悲観的だ。アーチェリー、フェンシング、テコンドーなどで5-6個の金メダルが期待されているが、1988年ソウル五輪で出場477選手・金メダル12個・総合メダル獲得数順位4位、2012年ロンドン五輪で248人選手・金メダル13個・5位という華やかな時代を復活させるには実力不足だ。主な球技種目(サッカー・バスケットボール・バレーボール・ホッケー・ハンドボール・ラグビーなど)のうち、パリ五輪出場が確定しているのはハンドボール女子だけ。これも1976年モントリオール五輪(バレーボール女子)以降で最も少ない。

■メダルどころか出場権確保も困難

 韓国は1988年ソウル五輪から2020年(2021年開催)東京まで、4種目から7種目にわたる団体球技に出場してきた。ハンドボール男子・女子は五輪で通算金2個、銀4個、銅1個(歴代総合5位)と活躍した。ホッケー男子・女子(銀3個)、バスケットボール女子(銀1個)、バレーボール女子(銅1個)、サッカー男子(銅1個)も五輪出場が多かった。ところが、2016年リオデジャネイロ五輪には団体球技4種目、前回の東京五輪には6種目で出場しながら、2大会連続でメダルなしで終わった。そして今やメダルどころか、五輪に出場することすら難しくなってしまった。

 他の種目も状況は変わらない。メダル量産種目だった柔道とレスリングでは2012年ロンドン五輪以降、金メダル獲得が途絶え、他のメダルも獲得が難しくなった。歴代五輪における韓国出場種目の中で、最多の46個(金11個)のメダルを獲得した柔道は、パリ五輪で男子7階級のうち3階級で、女子は2階級で出場権を逃した。全階級での出場が当然視されていたかつてとは違うのだ。レスリング(通算メダル36個)は東京五輪での「メダルなし」の衝撃に続き、パリ五輪では出場権確保すら苦労している。ソウル大学教育学部体育教育科の金紀漢(キム・ギハン)教授は「今後も競技力が低下し続けるならば、どの部分がきちんと作動していないのかを綿密に点検する必要がある」と語った。

■選手不足・国内向けに成り下がる…「アジア二流」の危機

 このような低迷は予見されていたことだった。少子化の影響で選手人材が徐々に減少しているからだ。地方の中学・高校における団体球技種目は選手募集自体が困難なのが実情だ。また、選手たちの学習権を保証しなければならないというプレッシャーのため、練習時間が減らされている。プロリーグが人気の一部種目では、選手たちが国内に安住する傾向が強い。バスケットボール・バレーボールはアジア圏でも既に強豪とはいえない。一方、国内リーグの選手たちの年俸は最高で10億ウォン(約1億1500万円)近くまで跳ね上がった。彼らは韓国代表に選ばれることを歓迎しない。既に国際競争力が下がっており、韓国代表チームでの成績が悪ければバッシングが起こるだけでなく、もしケガでもすれば損害が大きいためだ。

 以前のように選手たちを1カ所に集めて厳しいトレーニングに集中させることも、今では通用しない。ある五輪金メダリストは、「(韓国代表選手のトレーニング施設)鎮川選手村(忠清北道鎮川郡)は選手が外出しようが、病気で休んでいようが、構うのをできるだけ避ける。以前の泰陵選手村(ソウル蘆原区)の時とは雰囲気が違う」と語った。太極(韓国国旗)マークに対するプライドもだんだんと薄れていっている。「国際大会は兵役特例(免除など)の手段に過ぎず、国を代表して出るという使命感はほとんど見られない」という声も多い。昨年のアジア大会サッカー金メダルで兵役特例資格を得た選手たちが今回の23歳以下(U-23)アジアカップに多数出場していないという事実がこれを証明している。大韓柔道会のソン・チャンジョン専務は「ウズベキスタンやモンゴルの選手たちはスポーツで成功するという目標意識を持ち、『ハングリー精神』で努力するが、韓国のスポーツ界では目にすることが難しくなっている」と語った。

 科学的なトレーニング方式や新しい時代に合ったコミュニケーション構造を研究するのではなく、海兵隊のキャンプのような精神力強化で難関を突破できると信じている指導者たちも問題だ。ソウル大学教育学部体育教育科の崔義昌(チェ・ウィチャン)教授は「さまざまな種目に旧時代的な慣習が染み付いているのは事実だ。新しい育成方式を開発しなければ、層が薄くなっている種目の競技力の向上は不可能だ」と述べた。

 韓国のエリート・スポーツは岐路に立たされている。従来の選手育成方式を固守しながらも選択と集中をさらに進めるのか、さもなければ生活スポーツに対する投資と支援を増やし、すそ野を広げて選手を見いだすかだ。その選択の時が近づきつつある。

成鎮赫(ソン・ジンヒョク)記者、イ・ヨンビン記者

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