経済総合
機内食問題で連日の大規模遅延、アシアナ航空に何があった?
2日午前9時、仁川国際空港から日本の成田に向かう予定だったアシアナ航空機が、機内食の搭載が間に合わないなどの理由で出発が1時間40分遅れた。同日午後5時現在、日本の札幌、中国の西安などに向かうアシアナ航空機の18便が、機内食の搭載を諦めて食事なしで運航した。前日には同航空の国際線80便のうち51便が機内食の搭載が間に合わずに出発が遅延し、36便は機内食を搭載せずに目的地に向かった。
1日に発生したアシアナ航空の「機内食遅延騒動」が2日目も収まる気配を見せない。航空機の接続待ちなどの理由で18便が遅延(国土交通部〈省に相当〉基準で1時間以上の遅れ)したが、仁川空港の遅延基準(15分)で見ると、ほとんどが予定より遅れて離陸した。アシアナ航空側は「可能な限り早急に正常化させたい」と説明しているが、機内食遅延問題は当分の間続くとみられる。航空機が機内食の問題で大量に遅延するのは異例のことだ。アシアナ航空の機内食に何があったのか。
■機内食の調達先を変更した初日に遅延発生
アシアナ航空の機内食問題の直接の原因は、同航空と契約を結んだ企業が時間通りに機内食を配送できなかったためだ。
アシアナ航空は、アジア金融危機(1997年)を機に資金事情が悪化すると、機内食事業の株式20%だけを残して、大部分をドイツ・ルフトハンザ航空系列のLSGに譲渡した。2003年からLSGスカイシェフ・コリアと5年契約を結び、その後2度にわたり契約を延長した。16年にアシアナ航空は今年6月でLSGとの契約を終了させることを決め、新たな機内食調達先を探した。同年末にアシアナ航空は、中国の海南グループ系列のゲートグルメ・スイスと4対6の持ち株比率でゲートグルメ・コリア(GGK)を設立し、今年7月から30年にわたりGGKから機内食を調達することにした。
■業界49位の中小企業に2万5000人分の機内食を任せたアシアナ航空
今年3月、建設中だったGGKの新工場で火災が発生した。これにより7月からの機内食供給に支障が出ると、アシアナ航空は急きょ中小企業のシャープ DO&COから機内食を調達することを決め、3か月の短期契約を結んだ。企業信用評価会社の情報によると、シャープDO&COは16年に設立された中小企業で、社員数は63人。17年の売り上げは70億ウォン(約7億円)で、アシアナ航空の以前の機内食調達先だったLSGの売り上げ(1889億ウォン=約189億円)の4%にも満たない。最近は2年連続で営業赤字を計上している。外国籍の航空会社に1日3000人分の機内食を供給しているが、アシアナ航空の1日の必要量は2万5000人分だ。大手のアシアナ航空が、売り上げ基準で国内49位の中小企業に2万5000人分の機内食を任せたというわけだ。このため航空業界では「機内食遅延問題ははじめから予想されていたことだ」との声も上がった。
これについて、アシアナ航空は「生産設備や供給能力には問題はなかった。飛行機への運搬に予想より時間がかかっているのが原因」と説明した。機内食は全て準備できていたのに、配達に失敗した、というわけだ。
■機内食供給企業の変更は投資誘致のため?
アシアナ航空が機内食供給企業を変更したことをめぐり、さまざまな雑音も聞こえてきた。それまで機内食を供給していたLSGは売り上げの70%がアシアナ航空の分だったため、契約解除は事実上の倒産宣告と同じだった。契約を延長できないことが決まると、LSGは昨年4月、「アシアナ航空が契約延長条件として1500億-2000億ウォン(約150億-200億円)の投資を求めてきたが、それを断ると契約を打ち切った」と公正取引委員会に申告した。ちょうどその直前の昨年3月にGGKの親企業である海南グループは、アシアナ航空の持ち株会社である錦湖ホールディングスに1600億ウォン(約160億円)を投資していた。そのため錦湖アシアナグループが投資誘致のために、肝いり事業である機内食の業者を変更したとの主張も飛び出した。
これについてアシアナ航空は「LSGが、15年間要求してきた原価公開に応じなかった上、機内食の品質にも問題があったため、変更を決めた」として「むしろLSGが契約延長の条件として投資を提案してきた」と反論した。公正取引委員会はLSG側の申告に基づき、3度にわたり現状調査を実施したが、まだ最終的な結論は下していない。海南グループによる錦湖ホールディングスへの投資についても、アシアナ航空は「両グループが事業提携を通じて相乗効果を生むためのものであり、機内食業者の選定とは何ら関係がない」と説明した。