「えっ、『海月姫(くらげひめ)』の漫画家じゃない?」

 最近、日本の有名漫画家・東村アキコ(42)がネイバー・ウェブトゥーンに新作『偽装不倫』の連載を開始するや、韓国の漫画界が動揺した。映画化・テレビドラマ化された人気少女漫画『海月姫』は韓国でもよく知られており、作者は韓国によく行くKポップファンを自任する人物だ。新作は旅行でソウルに来た日本人女性が隣に座った韓国人男性にうっかり「私は既婚者」と言ってしまったことから巻き起こるラブストーリー。日本のウェブ漫画プラットフォーム「XOY」に昨年12月から連載中の同作品を韓国で連載することにしたネイバー・ウェブトゥーン側は「裾野を広げるという見地から、韓国でも通用する面白いコンテンツを供給しようという試み」と説明している。ネイバーは現在、台湾の漫画家・阿慢のホラー・コミック・ウェブ漫画『百鬼夜行誌』も連載している。

 「ウェブ漫画宗主国」韓国に外国のウェブ漫画が次々と上陸している。これまで韓国から輸出する形がほとんどだったが、海外でも徐々にウェブ漫画の基盤が整い、今では韓国に輸入されてウェブ漫画のラインアップが多国籍化しているのだ。レジンコミックスの場合、すでに日本(約300作品)や中国(約100作品)の作品があるが、完結した漫画を輸入・販売する方式から、新人を直接発掘して連載する方向へと進んでいる。2014年から「世界漫画公募展」を開催して日本・インドネシア・タイなどの外国人漫画家6人を発掘、叶輝(『ギフテッド』)、芹沢由紀子(『夜哭鬼』)など5人の新作を連載した。主にロマンスやファンタジーといったジャンルの作品で、国家的な色合いは強くないため共感しやすい作品がほとんどだが、レジンコミックス側は「単に市場にある漫画を韓国に輸入するのではなく、作品の企画段階から韓国での競争力を考慮して制作する」と話している。

 韓国人ストーリー作家と外国人漫画家を結び付けたコラボレーション(共同作業)も試みられている。このほど「韓日ウェブ漫画公募展」を主催したウェブ漫画制作会社ストーリー・カンパニーは、韓日の漫画家3チームによる新作を制作、まず韓国で今年末にも連載する予定だ。日本だけで約300人が応募、出版漫画を手掛けたことがある漫画家は約80人だった。イ・ソンウク代表は「まだ出版漫画中心の日本はデビューが容易ではない上、既にウェブ漫画という大きな流れを感じ取っている漫画家が多いため、韓国流入はさらに増えるだろう」と見ている。映画配給会社ショーボックスも作品を検討した後、投資する計画だ。ショーボックス側は「今後の映画化・ドラマ化を念頭に置いている」と説明した。

 ただし、課題は翻訳という2次工程や、外国人作品を巡る問題だ。東村アキコの連載が始まると、11年前の読者イベントでこの漫画家のポスターに旭日旗が描かれていたことが取り上げられ、騒動となった。東村アキコは「意図せずして使用された旭日旗のデザインで不快にさせて申し訳ない。これからは韓国が好きだということにとどまらず、より理解するために努力する」という謝罪文を掲載した。

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