随行秘書キム・ジウン氏(33)に対して性的暴行を振るったとして起訴された安熙正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事の妻ミン・ジュウォン氏=写真=が13日、法廷で「昨年8月早朝4時、キム・ジウン氏が夫婦の寝室に入ってきて、3-4分とどまっていた」と証言した。そして、「(キム・ジウン氏が)夫のことが好きだというのは以前から知っていたが、その日は危険だと思った」と語った。

 ソウル西部地裁で行われた公判で、ミン・ジュウォン氏は安前知事側の証人として出廷した。証人席に立った同氏は、昨年8月にあった出来事から話した。安前知事夫妻は当時、駐韓中国大使夫妻を1泊2日の日程で忠清南道保寧市竹島のコンドミニアムに招待、双方の随行員が同行した。ミン・ジュウォン氏によると、宿泊施設は安前知事夫妻が2階、キム・ジウン氏が1階に泊まるメゾネットタイプだったという。ミン・ジュウォン氏は「木の階段がきしむ音で目が覚めた。キム・ジウン氏が寝室のドアをそっと開け、つま先で歩く音がした。薄目で見たら、キム・ジウン氏が3-4分ほど足元に立っていた」と語った。目を覚ました安前知事が「ジウン、どうしたんだ?」と聞くと、キム・ジウン氏は急いで寝室を去ったというのがミン・ジュウォン氏の主張だ。携帯電話で確認したところ、時刻は午前4時5分だったとのことだ。

 ミン・ジュウォン氏は「翌日、夫に『(キム・ジウン氏は)あなたを危険に陥れる人だから用心して』と言った。その後、キム・ジウン氏は『酔って間違って入ってしまった。申し訳ない』と謝罪した」と語った。この主張に対し、安前知事の弁護人が「キム・ジウン氏は『夫婦の寝室に入ったことはない。部屋のドアの前の階段にしゃがんでいた』と言った」と述べると、ミン・ジュウォン氏は「明らかなうそだ。キム・ジウン氏は一方的に夫のことが好きなのだと思ったが、公的業務遂行のため私がどうこうすることもできず、数月間不快に思っていることを隠していた」と語った。

 この日の裁判にキム・ジウン氏は出廷しなかった。だが、キム・ジウン氏を支援している「安熙正性的暴行事件共同対策委員会」側は「(キム・ジウン氏は)当時の出席者たちが酒を飲んでいたため良くない事態を防ごうと、1階から2階に上がる階段を監視するうちに寝てしまい、前知事夫婦の寝室で気配がしたので1階に降りてきた」と述べた。

 この日のミン・ジュウォン氏の証言は、安前知事から「威力による性的暴力」を受けたとするキム・ジウン氏の主張に反論するためのものだと受け止められている。裁判では家族の証言の信ぴょう性は低いと評価される。しかし、この日のミン・ジュウォン氏の証言は、裁判所の判断に影響を与える可能性があるとの見方もある。ペク・ソンムン弁護士は「ミン・ジュウォン氏は、本人の名誉失墜という不利益を甘受して証言しただけに、裁判所ではその証言を信じるだけの価値があると見なす可能性もある」と語った。

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