ジャーナリストで時事評論家の金於俊(キム・オジュン)氏が司会を務める交通放送(TBS)の朝のラジオ番組「金於俊のニュース工場」が最近物議を醸している。 

 昨年12月18日の放送分で、金於俊氏は「たまに保守陣営のユーチューブ動画を見ているんです。コメディーだと思って」と発言した。正しい未来党の河泰慶(ハ・テギョン)国会議員がスタジオ出演し、「韓国社会であまりに二極化が進み、互いに交流がない」との分析したことに対する反応だった。

 野党自由韓国党の代表選について、河議員が「(劣勢とされた)洪準杓(ホン・ジュンピョ)を支援してくれませんか」と尋ねると、金於俊氏は「自由韓国党が道を誤るようにか」と言って、再び大笑いした。自由韓国党の洪準杓元代表、別名「太極旗部隊」と呼ばれる保守支持者は、この番組の司会者と出演者にいじられるのは恒例だ。

 「金於俊のニュース工場」は普通の時事番組では見られないような刺激的、扇動的な発言で人気を集めた。韓国リサーチによると、ニュース工場は昨年10月に首都圏のリスナーを対象に実施した調査で、聴取率11.6%を記録し、地上波ラジオ局の番組でトップに立った。2位のSBS「2時脱出カルトゥーショー」(9.2%)に2ポイント以上の差を付けた。今年1月の調査でも0.1ポイント差でカルトゥーショーとトップを争った。時事番組がラジオの聴取率争いで上位に入ること自体が異例だ。

 左派陣営からも司会者が政治的に偏向し過ぎているとして、「地上波ラジオ番組の司会者として、金於俊氏はふさわしいか」という議論が絶えない。左派政権をかばったり、保守陣営を攻撃したりするために真偽不明の疑惑を無差別に提起してきたからだ。金於俊氏は2016年にポッドキャストで「セウォル号の船員が故意にいかりを下ろし、船を沈没させた」という趣旨の発言を行った。17年3月のニュース工場でも「セウォル号故意沈没説」に触れた。同年4月には12年大統領選で不正な開票があったとする内容の映画「ザ・プラン」をインターネットで公開した。17年大統領選のわずか1カ月前のことだった。

 専門家は正確な検証を経ずに主張を行う番組進行スタイルがニュース工場の人気要因だが、警戒すべき点だと指摘する。高麗大メディア学部のキム・ソンチョル教授は「方向が正しいか間違っているかはともかく、明快に主張を行うため、客観性を欠いているとしても多くのリスナーが聴いている。特に影響力がある時事番組の場合は、リスナーや市民が事実関係に問題があるかどうかを自分で判断できなければならない」と述べた。

 金於俊氏とニュース工場の出演者による主張は、毎朝さまざまなインターネットメディアを通じ、フィルターなしで大衆に伝わる。扇動的で刺激的な番組内容をそのまま伝えるだけでもアクセスが伸びるからだ。2月11日午前の放送終了から1時間以内にインターネット上に掲載された記事は15本に上った。

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