妹の金与正氏以外は誰も金正恩氏に触れることができず

金与正氏がいればすぐに解決できた問題も

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長によるはじめてのロシア訪問は2泊3日というごく短いものだったが、現地では「儀典上のミス」があまりにも目立った。これまで金正恩氏が海外を訪問するたびに妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会第1副部長が一体となって同行していたが、今回は現場にいなかったことが影響したとの見方もある。

 金正恩氏とロシアのプーチン大統領が初めて会ったのは25日午後だが、この時から北朝鮮側では儀典上の些細なミスが繰り返された。まず専用車から降りたプーチン大統領に金正恩氏が歩いて向かった際、人民服の上着のベント部分が上がり、金正恩氏の尻の形がはっきりと見て取れた。北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋は「金正恩氏の身体に唯一触れることができる金与正氏が現場にいなかったので起こったようだ」と語る。

 晩さん会でもミスが相次いだ。金正恩氏はプーチン大統領からコインをプレゼントされたが、これはロシア固有の風習だ。ところが金正恩氏はこのコインを落としてしまい、当惑した表情でプーチン大統領を見上げた。このミスが起こった直後、金正恩氏はプーチン大統領が握手を求めているのに気づかず、通訳と話しをしていた。相手が「外交欠礼」とも受け取りかねない場面だった。外交関係者の間では「普段のように金与正氏が近くにいれば起こらなかったか、起こってもすぐに取り繕えた些細なことだ」との声も相次いでいる。

 これに先立ち24日には金正恩氏の専用列車がウラジオストク駅に到着した際、プラットホームに準備されたレッドカーペットの位置に合わせて停車できないというハプニングも起こった。そのため列車はバックと前進を繰り返したが、結局最後までレッドカーペットに合わせられなかった。北朝鮮の警護員らがあわてて手をXの形にして振る様子も取材記者らによって撮影された。

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