新しい天皇の即位と同時に「令和」時代が始まった日本では、発行部数1位の読売新聞と2位の朝日新聞の間で「改憲」をめぐる世論戦争に火が付いた。日本で令和時代最初の憲法記念日となった5月3日、両紙は改憲について全く異なった世論調査結果をそれぞれ報じた。

 安倍首相を総裁とする自民党は、1946年に制定された現在の平和憲法9条に自衛隊の存在とその役割を明記する方向で憲法改正を進める考えを何度も表明してきた。このような中、保守的な論調で改憲に賛成する読売新聞は3日付の1面に「憲法論議を活発に65%」という見出しの記事を掲載した。「憲法改正に賛成50%、反対46%」という調査結果に基づき「憲法改正、賛否は僅差」という見出しの記事もあった。同紙は「世論調査では2年連続で改憲賛成が反対を上回った」と強調している。グラフによると、特に20代で54%、30代で61%が憲法改正に賛成だという。また「憲法論議・活発に」という見出しの記事では改憲に向けた機運の高まりを促していた。

 これに対して朝日新聞は読売新聞とは異なる世論調査結果を1面に掲載した。まず「憲法改正に反対64%」を大きな見だしで報じた。同紙の世論調査によると、改憲の鍵となる憲法9条の見直しを求める声は28%だった。さらに「改憲機運・高まっていない72%」という大きな見だしの記事もあった。朝日新聞は解説記事で「憲法9条を改正し、自衛隊の存在明記を訴える安倍首相の改憲案」について反対46%、賛成42%の結果が出たことを強調した。

 今年3月の時点で読売新聞は811万部、朝日新聞は560万部の発行部数を誇り、読売は保守系、朝日は革新系を代表する新聞とされている。読売新聞は安倍政権を支持する論調で改憲の必要性を何度も訴えてきた。これに対して安倍首相をめぐる森友・加計学園問題などを特集で報じてきた朝日新聞は、改憲を危険な動きとみなしている。

 日本では今の憲法と関連して、これまでとは違った見方や動きに共感する世論が多少高まりを見せてはいるが、それでも憲法9条の改正には今なお否定的な声が根強い。両紙は今回の世論調査で自分たちの論調に合わせた形で異なった観点から報じたのだ。

 日本を代表する両紙が憲法改正について全く異なった主張を行う背景には、日本における保守と進歩(革新)の両陣営が憲法改正をめぐって大きく対立している現状がある。安倍首相は3日、東京都内で開催された改憲を求める集会にビデオメッセージを送り激励した。安倍首相はメッセージの中で「今も(憲法改正を目指す)思いに変わりはない」と明言し「憲法に自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打ちたい。私が先頭に立って責任を果たしたい」と改憲に改めて意欲を示した。

 これに対して立憲民主党をはじめとする野党は一斉に憲法改正反対の立場を表明する集会を開き、また革新勢力はこの日、主要紙に「安倍改憲に対抗して勝利を」と訴える全面広告を一斉に掲載した。1万1217人が実名で参加したこの広告は「日本国憲法は太平洋戦争への反省に基づいて主権者が政府に課したもの」として改憲論に反対している。日本国内のこのような雰囲気は、今年7月に予定されている参議院選挙をめぐってより熱くなりそうだ。日本では令和時代の始まりに合わせ、社会の多様性をめぐる変化を憲法に反映するよう求める声も高まっており、これによっても改憲の機運が高まる可能性を指摘する声もある。今回退位した明仁上皇は30年前に即位した際「憲法を守る」として「護憲」の立場に言及した。これに対して徳仁天皇は「世界平和を切に希望する」として憲法には言及しなかった。

ホーム TOP