フィンランド軍1人にソ連軍8人の割合で戦死した冬戦争

小国の独立を守る教訓を忘れ中国による無視を自ら招いた韓国

 くみしやすい相手をぞんざいに扱うのは人間関係でも国家間の関係でも変わらない。相手が屈辱を感じてもこれに反発せず、逆に頭を下げてくればそのような態度は当然エスカレートする。中国の習近平・国家主席の指示で設立された外交・安全保障シンクタンクの総裁という人物はつい先日「韓国における米国のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備は中国の安全保障にとって実質的には脅威にならない」と述べた。この発言から、中国がいかに韓国を無視しているか改めて実感する。その後の言葉はもっとひどい。この人物は「(THAAD配備は)中国に対する韓国の態度が変わったものと考えた。だから失望した。そのためこれに対抗した」とも語った。THAADが北朝鮮の核ミサイルに対する防衛用という事実を知りながら、これによって韓国に言い掛かりをつけ苦しめたことを堂々と口にしたのだ。

 このような仕打ちは韓国が自ら招いた側面も大きい。ノーベル文学賞を受賞した中国の小説家・莫言の代表作『蛙鳴(あめい)』の中に「子供用品も全て準備しました。どれも一番良いものです。韓国製の子供用ベッドとか」という部分がある。中国人の間で韓国は彼らの先を行く先進国だ。そのような国に大統領が訪れ、10回の食事のうち8回が1人という仕打ちを受けながらも「中国は高い峰、韓国は小さな国」と語ったのだから、大統領はいかに身が縮こまっていただろうか。中国に特使として派遣された与党関係者も露骨な形でぞんざいに扱われながらも、不快な表情一つ見せなかった。このような屈辱外交を続けているようでは、相手からまともに扱ってもらえるわけがない。

 膝を屈するよう強要する大国に対し、小さな国はどのように対すべきだろうか。今回文大統領が訪問したフィンランドはロシアとスウェーデンの間に挟まれた小国だ。第2次世界大戦後、旧ソ連はバルト3国を併合したが、そのすぐ隣にあったフィンランドは独立を維持した。これについては誰もが「フィンランドはソ連に卑屈な態度を示したから」と考え「フィンランド化」という言葉であざけった。しかしソ連がフィンランドの独立を認めたのは、フィンランドが卑屈な態度を示したからではなく、実は非常に手ごわい相手だったからだ。

 1939年10月、ソ連はフィンランドとバルト3国に領土の一部を割譲するよう要求した。フィンランドだけがこれを拒否したので、ソ連は翌月50万人の軍隊で12万人が守るフィンランドに侵攻し、フィンランドに膝を屈させた。冬戦争と呼ばれるこの戦争で、ソ連軍の戦車部隊を防いだフィンランド軍対戦車部隊の兵士は70%が戦死した。しかし本当にダメージを受けたのはソ連だった。生身の体で戦車に飛び付き、戦車砲の中に銃を撃つフィンランド軍スキー部隊の勇敢さにソ連軍は苦しんだ。戦争が終わって数えてみると、ソ連軍の戦死者はフィンランド軍の8倍に達していた。その後の第2次冬戦争まで含めると、フィンランド軍の戦死者は約10万人、ソ連軍は約50万人が戦死した。ソ連はその後、フィンランドに攻め込むことはなく、欧州連合(EU)への加盟にも反対しなかった。

 中国のトウ小平は1979年「小さな友人が言うことを聞かないので、尻をたたいてやる」と言ってベトナムに侵攻した。これに対してベトナムは全土に総動員令を出して抵抗し、中国はわずか1カ月で撤収した。今年はこの中越戦争から40周年だが、中国はこの戦争について今も一切言及しない。

 小国が大国に勝つのは難しい。しかし大国が勝手に振る舞えないようにすることはできる。ところが韓国は正反対だ。朝鮮王朝時代末期もそうだった。清日戦争で勝った日本が高宗に「清からの独立」を要求すると、高宗は宗廟(そうびょう)でこれを宣布した。しかし後に清から報復されることを恐れ、一行の規模を小さくしてわずか4人の小さな輿(こし)に乗った。このように卑屈な態度を示す朝鮮を中国人や日本人は尊重するだろうか。朝鮮はその時からすでに滅んでいたのだ。

 ファーウェイ問題で中国が再び韓国に圧力を加えているが、これも韓国の態度が変わったからというよりも、「韓国を追い込めば自分たちの言いなりになる」と考えているからだ。このままでは「フィンランド化」ではなく「韓国化」という言葉ができてしまうのではないだろうか。

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