27日午前2時ごろ、光州市西区にあるCナイトクラブでは騒々しい音楽が流れていた。ハンさん(35)のグループは入り口まで連なった人波をかき分け、入場してから5分でようやく1階の席を確保した。クラブは中2階のある複層構造で、当時1階(396平方メートル)と中2階(108平方メートル)をぎっしり埋めた約400人が音楽に合わせて体を揺らしていた。ハンさんは「中2階には光州世界水泳選手権大会の登録認証(AD)カードを首から下げた大柄の外国人が20人以上いて、目についた」と話した。ハンさんはまた「中2階で外国人らが飛び跳ねたとき、ガードマンたちが上がって制止するのを見た」として「クラブ側もその場所が危険だということを知っていた」と話した。

 それからしばらくたった午前2時38分、ごう音と共に中2階の床の一部(21平方メートル)が崩れて2.6メートル下に落下した。1階にいた客のチェさん(28)とオさん(27)の2人が、構造物にぶつかって亡くなった。光州世界水泳選手権大会に出場している外国人選手8人を含め、25人がけがをした。

 この日の崩壊事故は、踊れる飲食店を意味する「感性酒店」の逸脱が生んだ悲劇だった。ラウンジバーまたはラウンジクラブとも呼ばれる感性酒店は、遊興酒店(キャバクラなどの風俗店)ではなく一般飲食店でありながらも、踊りを踊ることが許されている。これは地方自治体が条例で許可した場合に可能となる。ソウル・麻浦区の弘大地区にあるクラブのうち約80%が感性酒店だ。遊興酒店より税金が少額で、消防法などの規制も受けない。この緩さの隙をついて違法な営業が行われるのだ。Cナイトクラブは中2階の77.44平方メートルを無断で増築したことが28日に確認された。このクラブは左右の壁面に中2階を設置していた。27日の事故当時、崩落した20平方メートルの部分には40人超が集まって踊っていた。この客たちが飛び跳ねていた中2階の床は重機で持ち上げるほど重かった。しかし床を支える柱は1本もなかった。唯一の支えは壁面に連結されたパイプ4本だった。いつ壊れるか分からない危険度の高い構造だったのだ。

 事故のあったクラブは昨年6月には中2階の強化ガラスの床が割れて20代の女性が転落し、けがをした。しかし事故後、床の材質を強化ガラスから合板に変更しただけで、追加の措置をせずに営業を強行した。これを監視すべき関係当局の措置は行われなかった。店のオーナーが業務上過失致死罪で罰金200万ウォン(約18万3300円)の支払いを命じられただけだった。違法建築物でけが人が出て罰金を科されても、行政処分は受けなかったのだ。警察は「食品衛生法違反と風俗違反は行政機関に義務通報するが、当時は刑法上の処罰が目的だったため、違法建築物が存在するのかも分からず、通報義務もなかった」と話した。

 そもそも西区市議会でCナイトクラブを感性酒店として許可したこと自体が問題だったとの指摘も出ている。本紙が確認した結果、この地区で一般飲食店として営業届を出し、感性酒店として恩恵を受けているのはCナイトクラブだけだった。Cナイトクラブは2016年1月にオープンして以降、わずか6か月の間に業種違反で1回、客が踊る行為があったとして2回、合わせて3回にわたり行政処分を受けた。営業停止1か月に課徴金7950万ウォン(約729万円)の処分だった。しかし、管轄区庁の光州西区庁が16年7月「客席で踊れる一般飲食店運営条例」を制定し、区議会で条例が可決されたため、節税と行政処分免除の恩恵を受けたのだ。特定の事業者のために条例を強引に制定したのではないかと指摘されている。

 この事業者は条例すら守っていなかったことが分かった。条例では、踊るための別のスペースを設置しないよう規定している。しかしこのクラブはテーブル4-5個を寄せてあちこちに小さなステージを作ったり、椅子とテーブルの周辺スペースなどを利用して実際には踊れるステージを別に運営していた。西区庁は条例に基づく安全基準を順守しているかどうかを確認する安全点検を一度も行っていなかった。警察は業務省過失致死傷の疑いでKラウンジバー共同代表のキム容疑者(51)ら3人と営業部長1人を取り調べている。このうち3人を立件し、西区庁の職員2人を参考人として呼んで事情聴取を行った。

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