▲TEAM BUNNIESのロゴ

 韓国の大手総合エンターテインメント企業HYBE(ハイブ)傘下のレーベルで、人気ガールズグループILLIT(アイリット)が所属しているBELIFT LAB(ビリーフラボ)が、「ILLITはガールズグループNewJeans(ニュージーンズ)をコピーした」と主張しているTEAM BUNNIES(チーム・バニーズ)関係者を相手取り訴訟を起こした。これは、TEAM BUNNIESが1人の未成年者による組織だとの説を確かめようという意図があるものと受け止められている。このため、未成年者の身元を特定できるかどうかが訴訟の行方を左右するカギだとの見方もある。エンターテインメント業界関係筋が18日に明らかにした。

【写真】NHK紅白歌合戦に2年連続で出場するILLIT

 関係筋によると、BELIFT LABは11日、ソウル西部地裁に未成年者であるTEAM BUNNIES関係者とその両親を相手取り1億ウォン(約1100万円)規模の損害賠償訴訟を起こしたとのことだ。BELIFT LABはTEAM BUNNIES関係者の身元を特定できておらず、氏名不詳者として訴状を提出したという。

 HYBEとその傘下の芸能事務所でNewJeansが所属するADOR(アドア)のミン・ヒジン前代表がもめた後、ミン・ヒジン前代表は「ILLITはNewJeansを盗用した」と主張した。NewJeansのファンだと名乗るTEAM BUNNIESはミン・ヒジン前代表の発言を引用し、同じ内容の文章をネット上に投稿した。BELIFT LABはこの投稿によりILLITの名誉が毀損(きそん)され、損害が発生したとして訴訟を起こした。

 この主張は法的判断を一度受けている。今年10月、ADORがNewJeansを相手取り起こした専属契約有効確認訴訟で、裁判所は「NewJeansとILLITの各企画案・グラビアなどで一部類似した点が確認できるが、ILLITがNewJeansのコンセプトを複製したとの点が認められるとみるには不十分で、他にこれを認める証拠はない」との判断を示した。

 エンターテインメント業界では、BELIFT LABが起こした今回の訴訟について、TEAM BUNNIESの実体を把握するための布石と解釈している。TEAM BUNNIESは当初、「法曹界、メディア、金融、文化、芸術など各分野で活発に活動しているBunnies(バニーズ=NewJeansの公式ファンクラブまたはファンの呼称)が集まったチームで、NewJeansを支持する各界各層の専門家集団だ」と名乗っていた。

 しかし、寄付金品法に違反したTEAM BUNNIES関係者が家庭裁判所の少年部で保護命令を受けた未成年者であることが明らかになった。その後、TEAM BUNNIESは「1人の団体」と主張を変えたが、一部には「TEAM BUNNIESという集団が未成年者を前面に押し出している」との疑惑も取り沙汰されている。TEAM BUNNIESは昨年、営業機密に該当するILLIT企画案を公開し、ADORとHYBEの主な役員を告発するなどしており、そうした一連の行為が10代の個人がしたとは考えにくいためだ。

 カギとなるのは、訴訟の過程でTEAM BUNNIES関係者の身元を特定できるかどうかだ。裁判所の文書提出命令や捜査記録閲覧・謄写などで関係者の身元を特定しようとする手続きを進めることができるが、少年保護事件記録は非公開が原則なので、身元確認につながるかは未知数だ。身元が特定されなければ本案は判断まで進めることができない。TEAM BUNNIESが1人で運営されているのか、多数の協力により運営されている組織なのかは確認が困難だ。

 ある法曹界関係者は「自分の身元を隠したままアイドルなどに対して悪意のある主張を繰り返した人物について、訴訟を通じて身元が明らかになった事例がある。BELIFT LABも同じ戦略を選んだものとみられる」「TEAM BUNNIESはミン・ヒジン前代表の主張を踏襲している。未成年者だという特殊性がカギだ」と説明した。

 法務法人ONE(ワン)のメディア・エンターテインメント・チーム、キム・ヨンス弁護士は「家庭裁判所少年部に裁判記録閲覧を申請すれば、棄却される可能性が高い」としながらも、「この事案は刑事上の問題に広がる余地があるだけに、投稿が掲載された交流サイト(SNS)企業に情報提供を要請すれば、身元を特定できるだろう」と話す。

 身元特定が直ちに損害賠償決定につながることはない。法務法人フィサンのキム・ミンゴン弁護士は「(BELIFT LABが)被害に遭ったという損害額を立証できるかが争点となる」と語った。

ホン・インソク記者

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