昨年より1万人増え75%が小学生、加害者も6年ぶり増加

ネットいじめが身体への暴力を上回る…言葉の暴力が36%で最多

 ソウルのある小学校に通う6年生のミンソ(仮名)にとって、今年の1学期は「地獄」だった。同じクラスの友人が1学期の間ずっとミンソの悪口を言っていじめていたのだ。その後、その友人だけでなくほかのクラスメートまで加勢し、集団でミンソを仲間はずれにした。皆で一緒にいるときにミンソ以外の全員に食べ物を分けたり、ゲームでは集団でミンソを集中攻撃したりといった具合だった。

 教育部の調査で「校内暴力(いじめを含む)の被害を受けた」と回答した児童・生徒が、ここ1年の間に1万人増えたことが分かった。教育部が8月27日に発表した「2019年学校暴力実態調査」によると、校内暴力の被害を受けたと答えた小・中・高校生は計6万人で、昨年に比べ1万人多かった。今回の調査は国内の小4-高3の児童・生徒を対象に行われ、対象年齢の児童・生徒計410万人のうち372万人(90.7%)が回答した。

 「校内暴力の加害経験がある」という回答も、2013年に4万7000人を記録して以降、昨年まで減少傾向にあったのが今年の調査で6年ぶりに増加に転じた。加害側の児童・生徒が昨年1万3000人から今年は2万2000人に増えたのだ。

 昨年に続き、今年も校内暴力が最も多かったのは小学校だった。校内暴力の被害者の低年齢化という流れがはっきりと表れた。小学生全体のうち3.6%が「校内暴力の被害を受けたことがある」と答え、中学生(0.8%)や高校生(0.4%)よりはるかに多かった。校内暴力の被害者だけに着目すると、全被害者の4人に3人(75%)が小学生、残りが中高生だった。

 専門家らは「言葉の暴力と仲間外れがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて結びつく現象が現れている」と懸念した。今回の調査の結果、全体の被害パターンのうち言葉の暴力(35.6%)が最も割合が高く、仲間外れ(23.2%)とネット上でのいじめ(8.9%)が後に続いた。「ネットいじめ」とは、カカオトークやフェイスブックなどのSNSをはじめ、ネット上で意図的かつ継続して相手を苦しめることを指す。

 仲間外れにされた児童・生徒の41.4%が言葉による暴力を、14.7%はネットいじめを重複して経験していることが分かった。教育部は「仲間外れが他の暴力(いじめ)につながる傾向があるとみられる」と述べた。

 身体への暴力は多少落ち着いているものの、SNSを利用して知能的にいじめる現象が強まっていた。校内暴力全体のうち、身体への暴力(8.6%)は3年連続で減少した。調査が始まった2013年以降、初めてネットいじめ(8.9%)が身体への暴力とストーキング(つきまとい)の双方を上回った。

 ネットいじめはますます多様化し、執拗(しつよう)になっていた。ソウルのある小学校の教諭は「(SNSの)チャットルームに招待しておいて、ほかの児童たちが一斉にチャットルームを抜けて恥をかかせたり、チャットルームに何度も招待してはいじめる『カカオトーク監獄』など、新たなタイプのいじめが次々と生まれている」と話した。

 チャットルームで全員が特定の1人を意図的に無視する「カカオトーク幽霊」、対象の生徒の実名は書かないものの誰でも推測できるようにして陰口をたたく「狙撃」、チャットルームに招待した上で一斉に悪口を浴びせる「テカ」も子どもたちを苦しめた。学校関係者は「こうしたいじめは被害児童・生徒が自ら申告しなければ明るみに出ないため、学校で指導するのは容易ではない」と話した。

 子どもたちを最もひどく苦しめる相手は、遠くにいる誰かではなく「同じクラスの友人」だった。加害者は同じクラスの児童・生徒(48.7%)が最も多く、同じ学年の別のクラスの児童・生徒(30.1%)、同じ学校の別の学年の児童・生徒(7.6%)、別の学校の児童・生徒(3.2%)と続いた。

 校内暴力の被害を受けた児童・生徒らは概ね、両親など家族(42.2%)、教諭(26.9%)、友人や先輩(10.2%)に被害を打ち明け相談していた。しかし、被害者の5人に1人(18%)は誰にも言わずにいた。

 教育部は、2学期にさらなる調査を実施した上で、年末に「学校暴力予防および対策基本計画(2020-2024年)」を発表することを決めた。

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