▲新世界グループが運営する「ピエロショッピング」アダルトグッズコーナーのラブドール/ソン・ドクホ記者

 女性の体をそのまま再現したアダルトグッズ「ラブドール」の輸入・販売を巡る議論が高まる中、ラブドールを扱った学術論文が初めて発表された。

 建国大学が28日に明らかにしたところによると、同大学身体文化研究所のユン・ジヨン教授は今月18日、梨花女子大学梨花人文科学院と共同で開催した学術大会で「ラブドール、支配のエロチシズム」という題目の論文を発表した。

 論文でユン教授はラブドールの輸入を巡る裁判に言及し「一審はラブドールについて『人間の尊厳と価値を深く毀損(きそん)した』と言えるほど性的な部位を赤裸々に描写した『わいせつ物』と判断したが、二審では『性的器具』と見なし輸入を認めた」と分析した。

 ユン教授は「一審で『人間の尊厳』に言及した際、その人間とは女性を意味するものだが、二審では性的な自由を持つ『個人』を男性に限定した」と指摘した。

 これに先立ち2017年7月、仁川税関がラブドールを「風俗を害する物品」と判断し、輸入許可を保留したところ、輸入業者がこれに反発して仁川税関を相手取り「輸入通関保留処分取り消し」を求める訴えを起こした。

 一審はラブドールについて「わいせつ物」として税関勝訴の判決を下したが、控訴審で裁判長は「他の性的器具と同じくラブドールも輸入を認めるべき」と判断した。その後、大法院(最高裁に相当)も控訴審の判決を認めたため、ラブドールの輸入は法的に許可された。

 ユン教授は「女性が器具を使用して自らの身体が感じることに集中するとすれば、ラブドールなど男性用の成人用品は女性の身体を支配することに集中している。その点で確実な違いがある」と指摘した。

 ユン教授はラブドールによる性的刺激の本質について「受動的でいつでも侵害可能な女性の身体に対する掌握の意志」と説明した。

 その上でユン教授は「男性の治療や性欲解消の道具として女性の身体が形象化されることは、女性に対していかに大きな人格侵害あるいは心理的・身体的毀損を誘発するか、考えようによってはトラウマにもなりかねない点が全く考慮されていない」として判決を批判した。

 韓国大法院判決を巡っては今年7月、大統領府ホームページの国民請願掲示板に「ラブドールの輸入・販売を禁止してください」との書き込みがあり、1カ月で26万人が署名に参加した。

 大統領府は「行政府は三権分立の原則に従って司法の確定判決に従い、その判決の趣旨を尊重する義務がある」「ただし今回の大法院判決はラブドールの輸入を全面的に認めるよう判断したものではなく、訴えが起こされた該当品に限定して輸入を認めた」と説明した。

 その上で大統領府は「特定の人物に似せたオーダーメードのラブドールに対する懸念が大きいことは把握している」「当事者の同意がないオーダーメードラブドールの制作や流通については、厳正な処罰が行われるよう法的な検討を進めていきたい」とのコメントも付け加えた。

 今月18日に行われた産業通商資源部(省に相当)総合国政監査では無所属のイ・ヨンジュ議員が会場に実際のラブドールを持ち込み、産業通商資源部長官に「ラブドールの産業振興を検討すべきだ」という趣旨の質問を行い問題になっていた。

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