社会総合
「米で多い液状大麻、韓国では犯罪者」気をもむ留学生の親たち
「血気盛んな時で好奇心も強いだろうし、友達が勧めたら息子は拒否できなさそう。できることと言えば電話しかないから本当にもどかしい」
キムさん(52)は今年6月に米国東部に留学した大学3年生の息子のことを考えるたびに心配で仕方ないと言った。キムさんの息子はソウル市内の名門私立大学進学後もタバコ1本吸わなかった。ところが、その息子から最近、「学生が開くパーティーに行くと大麻入りの菓子を食べ、液状大麻を吸うことができる」という話を聞いた。液状大麻とは、電子タバコの機器に入れて吸うことができる大麻商品のことだ。キムさんは「大麻に接し続けている息子が『これは間違っていることだ』と認識できなくなるかもしれないと思うと怖い」と語った。キムさんは、大学の授業が終わる米国時間午後4-5時(韓国時間午前6-7時)ごろになると息子にテレビ電話をかける。最近は留学生の子を持つ親のコミュニティーに頻繁に参加しており、「子どもにたくさんのお金を与えなければ、薬を売る子たちが寄ってこない」というアドバイスをもらった。
昨年の時点で米国内の韓国人留学生は5万8663人。米国の留学生たちの間で公然と広がっている「大麻吸引」文化に、留学生たちの親は気をもんでいる。昨年、米イリノイ州など11の州とカナダでは嗜好(しこう)用大麻が合法化されたため、親たちの心配はいっそう深まっている。現地大使館や韓人(在外韓国人・韓国系)会、留学あっせん業者などには「留学生の大麻吸引実態」に関する問い合わせ電話が相次いでいるという。
本紙が接触した米国にいる複数の留学生や在米韓国人たちは「大麻吸入は一種の遊びと考えることができる」と語った。ニューヨークにあるコンサルティング会社に通う20代の韓国人Bさんは「タバコを吸うように液状大麻を口にする。米国の勉強しに来た韓国人のほとんどが大麻を経験して韓国に帰る」と言った。こうした状況を心配して、子どもを米国留学から引き上げさせるかどうか悩む親たちも現れ始めた。留学コンサルティング会社「パシフィック・エデュ」のチョ・ユンス代表は「子どもの留学を検討している保護者たちは最近、米国やカナダより大麻の取り締まりが厳しいニュージーランドなどを好む傾向がある」と話す。
韓国人が大麻を吸引することは、国内外を問わず違法だ。漢城大学麻薬・アルコール学科のユン・フンヒ教授は「大麻吸入に対する具体的な状況陳述が確保されれば、警察が捜査に乗り出す可能性がある。大麻は吸入後6カ月間、体に残る」と言った。関税庁は、米国から帰ってきた留学生などを対象に簡易診断装置を使って大麻吸引の有無を調べ、取り締まっている。
これまで留学生の大麻吸引は「脱線」程度で終わることが多かった。しかし、最近ではこれを韓国まで持ち込んで摘発されるケースが増えている。今年9-10月に洪政旭(ホン・ジョンウク)元ハンナラ党(現:自由韓国党)議員の娘と李在賢(イ・ジェヒョン)CJグループ会長の長男が液状大麻を持ち込んで摘発されたケースがその代表的な例だ。液状大麻はカートリッジの長さが10センチメートルより小さく、体に隠しやすい。ロサンゼルスのある留学生は「600ミリグラムのカートリッジ1-2本をコートのポケットの中に入れて持ち帰るのはよくあることだ」と話す。関税庁によると、液状大麻カートリッジなど大麻抽出物密輸件数は2016年の6件(合計204グラム)から、昨年は120件(合計1万6356グラム)へと跳ね上がった。東国大学警察司法学部のイ・ユンホ教授は「外国に勉強しに行った韓国の学生たちが親も知らない間に『潜在的犯罪者』になるのではないかと関心を払うことが必要だ」と語った。