韓国の市民団体、経済正義実践市民連合(経実連)が文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台勤務公職者65人が保有するマンションの価格を調べたところ、同政権発足前の8億2000万ウォン(約7400万円)から現在は11億4000万ウォン(約1億400万円)へと平均3億2000万ウォン(約3000万円)上がっていたことが分かった。住宅価格の平均上昇率は40%に達する。

 韓国政府の不動産政策を設計した金秀顕(キム・スヒョン)元青瓦台政策室長の果川市内にあるマンション相場は9億ウォン(約8200万円)から19億4000万ウォン(約1億7700万円)へと2倍以上も上がった。「私は江南で暮らしてみたから分かるが、すべての国民が江南で暮らす必要はない」と言っていた張夏成(チャン・ハソン)元政策室長のソウル市松坡区内のマンションは10億ウォン(約9100万円)以上も上がったし、金尚祚(キム・サンジョ)現政策室長のソウル市江南区内のマンションも4億4000万ウォン(約4000万円)上昇した。自宅の価格がどれだけ上がったのかよく知っているであろう参謀たちがどう報告したかは分からないが、文在寅大統領は「国民との対話」で「不動産価格は安定している」と発言した。

 ソウルと一部の大都市を除き、地方では住宅価格に変動がほぼないか、下がっているところも多い。だから、全国平均を出すと住宅価格がまるで安定しているかのように状況をごまかすこともできる。全国平均住宅価格より住みたい町の実際の取引価格の方が重要だ。ある不動産情報業者が文在寅政権発足後、ソウルで取引されたマンション24万軒の実際の取引価格を調査した結果、2年余りの間に平均41%上昇したことが分かった。家のない人ははく奪感に苦しみ、家のある人も税負担のために苦痛を感じている。一部の投機筋を除き、多くの人々を追い込む悪循環が起きているのだ。

 それでも文在寅大統領は「不動産問題には自信がある」と言う。「『住宅価格上昇』に自信がある」という意味に聞こえたという人が多い。経実連は「所得主導成長ではない『不労所得主導成長』ばかり現れている」と皮肉った。前政権の不動産浮揚策をあれほど非難していた現政権が、類を見ないマンション価格上昇を生み出しているとは、これほどの逆説もないだろう。

 住宅所有者たちが住宅価格上昇に喜んで財布をさらに開けば「不労所得主導成長」モデルが本当に作動するかもしれない。しかし、現実は逆だ。総合不動産税の健康保険料という爆弾まで浴びた住宅所有者たちは「政府は住宅価格を引き上げておきながら、なぜ私たちに罰を与えるのか」と財布のひもをいっそう固くしている。米ハーバード大学の著名な経済学者は一昨日、文在寅政権の経済政策を「所得主導成長」ではなく「所得主導貧困(income-led poverty)」だと批判した。間違った政策が貧困層をさらに貧しくして、住宅価格も二極化させている。現実を直視し、政策の過ちを認めることはそんなにも難しいことなのだろうか。

金洪秀(キム・ホンス)論説委員

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