京畿道富川市のあるマンションで70代の老父母と共に暮らしている42歳のAさんは、無職の状態が長く続いている。名門大学を卒業し、国家試験に挑戦するも失敗。36歳以降はひたすら家にこもり続けている。Aさんの妹さんは「どんなに家族が声を掛けても働こうとする思い自体がない。このまま老いて死ぬまで無職の状態が続くのではないかと思うと気が気でない」とため息をもらす。

 Aさんのような中年ニート(NEET)が昨年20万人に上っていたことが分かった。韓国労働研究院のナム・ジェリャン・シニア研究委員が最近労働パネル学術調査を通じて発表した「青年ニートと中年ニートに対する研究」と題する報告書によると、昨年40代のニートは19万5000人に上っていたことが分かった。ニートはもともと15-34歳の就業人口のうち、未婚ながら学校に通わず、家事も行わない青年失業者を称する単語だった。ナム研究委員は今回の報告書で統計庁の経済活動人口調査と韓国労働パネル調査における18年分の資料を分析し、ニートの概念を中年層にまで拡大して研究した。

 ニートを年齢層別に見ると、人数は20代が最も多かったが、増加率は30代、40代と高齢化するほど拡大した。20代のニートは2000年の31万8000人から昨年は77万7000人と増加率は144.3%となった。同期間で30代のニートは6万8000人から30万5000人と増加率は348.5%だった。

 ナム研究委員が中年ニートと分類した40代のニートは、これを上回る増加率を見せた。2000年には40代のニートは3万3000人とごく少数にすぎなかった。しかし、昨年は19万5000人と18年間で500%近くにも膨らんだ。ナム研究委員は「活発な経済活動を行うべき40代の時期に20万人近い人口が働き口さえ探すことなくニートとして過ごしているという事実は、非常にショッキング」と話した。

 では、中年ニートがこのように爆発的に増加した原因は何なのか。30代のニートが増加した原因には、20代ではニートでなかった人が新たにニートになっていることが大きく影響した。20代で働いたり一生懸命に求職活動をしたりしたものの、30代で職を失ったり求職活動が思うように進まなかったりするなどの理由でニートになったケースが多いというわけだ。

 一方、40代の場合、新たにニートになる人に加え、30代にニートだった人が10年後にもニートから抜け出すことができずにいることが大きく影響していた。ナム研究委員は「中年ニートの増加は青年ニートの経験と密接な関係を持っている」と説明する。実際にニートは青年時代から長期化する傾向が高い。ソウル市冠岳区に住むBさんは来年には32歳を迎えるが、これまで一度も働いてみた試しがない。2008年に高校を卒業して以降、進学も就職も就職活動もせずに11年を過ごした。Bさんは「この年になって両親にお小遣いをもらうのは申し訳ない限りだが、今となってはどうしようもない。こうして一日一日を過ごしてみたところ、いつの間にか30を過ぎてしまった」という。

 Bさんの場合、40代になってもニートを続ける可能性が高い。30-40代の雇用市場がそれほど困難を極めているためだ。特に40代の就業者数は2015年10月の696万6000人を頂点に先月まで49カ月間連続で減少した。12月24日に統計庁が発表した「2018年基準中壮年層行政統計結果」によると、再び就職した中・壮年層のサラリーマンのうち10人に6人(62.5%)は平均月給が200万ウォン(約18万8000円)未満であることが分かった。

■ニート(NEET)とは「仕事をせず、職業教育や訓練も受けない(Not in Education, Employment or Training)人」を意味する。通常未婚ながら学校に通わず家事もしない無職者を意味する。就職しようとする意欲がないという点で、働く意志はあるが働き口を見つけることができずにいる失業者とは区別される。

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