【新刊】チョ・グィドン著『世襲中産層社会』(思考の力刊)

 「こんにち、20代の問題の核心は、『1等市民』である中上位層と残る『2等市民』間の格差がもはや埋められない超格差になったというところにある」

 現職の言論関係者が手掛けた本書は、冒頭のこの一文から目を引きつける。韓国社会の摩擦を「世代論」で説明しようとする試みが増えているが、実は20代内部の階層的不平等にも注目すべき-という主張だ。著者は「世襲中産層」という新造語を通して、両親である「586世代」(現在50代で1980年代に大学に通った60年代生まれの世代)の経済的・社会的格差が、その子どもに当たる20代の階層的格差として拡大再生産されていると指摘する。

 本書の美徳は、手っ取り早い感情的扇動へ走っていくよりも、冷静かつ実証的な分析に忠実であろうとする点にある。「文化資本」を唱えるフランスの社会学者ピエール・ブルデューの韓国版にして、昨年イ・チョルスン西江大学教授が出版した『不平等の世代』に続く作業と見ることができる。本書を読んでみれば、韓国という祖国に生きている一家族の姿がじわじわと浮き上がってくる。312ページ、1万7000ウォン(約1620円)。

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