尹美香(ユン・ミヒャン)氏が民主党の国会議員となり、慰安婦運動を象徴するチョウのバッジを着けて昨日国会議員会館に姿を現した。国民を代表する憲法機関になったのだ。年間数億ウォン(数千万円)に上る国民の税金が尹議員の歳費、事務所運営費、補佐官の給与などとして支援されることになる。

 尹議員は正義記憶連帯(正義連)の理事長を務めながら、一方で元慰安婦女性らを利用して私利私欲を満たした疑惑が持ち上がっている。「だまされるだけだまされ、利用されるだけ利用された」と叫ぶ慰安婦被害者・李容洙(イ・ヨンス)さんの告発をきっかけに、尹議員を巡る疑惑が次々と明るみにでた。正義連の会計帳簿からは数十億ウォン(数億円)の寄付金が消えた。京畿道安城市の「憩いの家」の高値での購入、個人口座を使った寄付金集め、住宅購入資金、娘の留学費用、家族ビジネスへの正義連利用などの疑惑が芋づる式に出てきたのだ。

 尹議員は根拠を提示せずこれらを否定している。住宅購入資金については「個人の口座と正義連の口座が混用された時期は2014年以後であり、マンション購入は12年」と主張したが、すでに12年から個人口座が募金に利用されたことが分かっている。尹議員はその直後にマンションを購入していた。夫の会社が正義連から仕事を受注したことについても、19年から正当な手続きを経て受注したと主張したが、これも実は3年前から行われていた。7年にわたり元慰安婦女性が一人も住んだことがない安城の憩いの家を巡っては、正義連の職員らが「女性たちが積極的に参加している」と自ら評価し報告書を作成した。だましていたのだ。

 尹議員は過去に自らの娘を「金福童(キム・ボクトン)さん奨学生」と説明した。元慰安婦女性らの弔慰金による正式な奨学金受給ではなく「生前に小遣いとしてもらった」と弁解したが、これが「奨学生」と表現できるだろうか。日帝強制動員労務者や慰安婦被害者、さらに遺族団体「太平洋戦争犠牲者遺族会」は昨日「李容洙さんの主張は全て正しい。尹美香は辞任せよ」と主張した。慰安婦運動を間近で見守ってきた多くの人たちが、このような主張をする理由は一体何か。

 李容洙さんは慰安婦運動のシンボルとも言える人物だ。その李容洙さんが「30年にわたりだまされ続けた」と叫んでいるのに、慰安婦被害者を誰よりも支えるとして「被害者が重要だ」と口にしてきた現政権の関係者らは突然顔を背けた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「事実関係を解明し、厳重に処断せよ」と指示するどころか、沈黙を守ることで尹議員を擁護している。文大統領は機務司(機務司令部、かつての軍情報部隊)戒厳文書事件、キム・ハクウィ元法務部(省に相当)次官を巡る事件、チャン・ジャヨンさん事件、バーニングサン事件などでは特別捜査の指示まで下していた。与党勢力の支持者らは李容洙さんを「親日派」「土着倭寇(わこう)」などと逆に攻撃している。彼らにとって重要なのは慰安婦被害者ではなく、慰安婦を利用してきた自分たち運動圏(左派学生運動)の方だ。

 国民の大多数は「尹美香は議員になる資格はない」と考えている。それでも与党勢力は尹議員を擁護している。与党は「韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相は無罪」とも言い始め、これをやめようとしない。有罪を立証する物的証拠が確実に存在し、大法院(最高裁に相当)でも満場一致で判決が下された裁判を今になってひっくり返そうとしている。無能、失政、不正、不法を重ねても、国民の大多数が選挙で手を上げたので、今や「できないことはない」と考え暴走を始めたのだ。

ホーム TOP