「(朝鮮日報は吉元玉(キル・ウォノク)さんの通帳の明細をどのようにして入手したのでしょうか? 釈明願います)」

 先月28日、慰安婦被害者・吉元玉さんの口座から2017年に入金された国民支援金1億ウォン(約890万円)がわずか1時間で消えてしまったという事実について説明を要求したところ、市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の李娜栄(イ・ナヨン)理事長が送ってきたテキストメッセージだ。電話をかけても出ないのでテキストメッセージを送ったら、このような回答があった。質問は1億ウォンの行方に対するものだったが、回答は的外れだった。その後、「正義連側は釈明を拒否した」という内容の記事が出ると、同理事長の「文字爆弾」がさく裂した。「記事に責任はお取りになるのでしょう?」「私は朝鮮日報とインタビューしたことがありません、だからカッコを付けました。責任を問います」「すぐに(記事を)お消しにならないなら、措置を取ります」「謝罪と修正を願います」「私的な話を記事化したと問題提起します」…。だが結局、1億ウォンがどのようになったのかの説明はなかった。

 代わりに正義連のハン・ギョンヒ事務総長が返信してきた。「吉元玉さんは受け取った1億ウォンのうち5000万ウォン(約450万円)を寄付なさった。その他の部分、つまり吉元玉さんの個人資産はご自身が管理し、私共は知るよしもない」という内容だった。5000万ウォンを寄付した先は正義連だ。当時、吉元玉さんが正義連の管理下で認知症の薬を1年以上服用している状態だったことを考えれば、すっきりしない寄付だ。では、残りの5000万ウォンはどうなったのだろうか。これに対する釈明もすっきりしない。吉元玉さんが自分の判断で使い、自分たちは知らないというのだ。認知症に苦しんでいた吉元玉さんが5000万ウォンをどこに使うというのか。常識的に見ても疑問が生じるが、同事務総長はむしろ「常識的に考えろ」と言い放った。

 正義連はいつもこのような姿勢だ。今年5月の記者会見では、正義連傘下の「人権連帯処」オ・ソンヒ処長が「支援金の使途を詳細に明らかにせよ」と追及すると、「過酷すぎる」と反発した。この様子はインターネット上で(新型コロナウイルス感染症における韓国の防疫措置)「K防疫」になぞらえて「K過酷」という嘲笑(ちょうしょう)気味のコメントにより話題になっているのが実情だ。彼らは自分たちを善、外部勢力を悪と設定した状態であらゆる事案にアプローチしているようだ。簡単な質問にさえ回答を拒否し、まるで「お前らが質問する資格があるのか」と訓戒しているようだ。正義連は今回の疑惑を最初に提起した慰安婦被害者・李容洙(イ・ヨンス)さんに向かって記憶力を問題視して攻撃した。「ハルモニ(おばあさん=慰安婦被害者)たちの記憶」は同団体の存在基盤であるのにもかかわらず、だ。吉元玉さんが若かったころ、もらい乳で育てた養子に対しては、「法的養子資格取得時期はごく最近のこと」「吉元玉さんは養子の定期的な訪問時、時には特別な要求に応じて現金を提供した」と強調した。暗に「当初からカネを狙って養子になったのではないか」というニュアンスを漂わせている。自分たちは正義で、批判勢力は不義であるという姿勢がベースにあるということだ。「正義」がこのように自分たちにとって有利か不利かに基づいて手のひらを返すように変えられる概念ならば、それは正義ではない。

社会部=チョ・ユジン記者

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