京畿道広州市にある日本軍慰安婦被害者支援施設「ナヌムの家」を運営する法人が多額の寄付金を集めたものの、慰安婦被害者のための直接経費には使わず、ほとんどを土地購入や建物の新築に使ったり、積み立てたりしていたことが分かった。

 一方、社会的に大きな波紋を呼んだ慰安婦被害者支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の不正疑惑については、政府が一部の不正を認めながらも発表しておらず、事実上、握りつぶそうとしているのではないかとの指摘もある。

 ナヌムの家をめぐって取りざたされている寄付金流用疑惑をきっかけに構成された官民合同調査団は11日、京畿道庁で調査結果を発表した。ソン・ギチュン共同団長(全北大学法学専門大学院教授)は「ナヌムの家は2015年から2019年までの5年間で寄付金88億8000万ウォン(約8億円)を集めたが、支援施設に送られた金額は2.3%に当たる2億ウォン(約1800万円)だった」と述べた。

 また、「ナヌムの家に支出した金額も施設運営のための間接経費として大部分支出され、そのほとんどが慰安婦被害者の福祉や証言活動を支援するためには使用されていなかった」と明らかにした。ナヌムの家は寄付金38億ウォン(約3億4000万円)を土地購入などの資産形成費用として使い、残りの寄付金は国際平和人権センター建設などの目的に使用したり備蓄したりしていたことが分かったという。

 ソン・ギチュン団長は「おばあさん(慰安婦被害者)たちを感情的に虐待した状況も見つかった」と言った。介護者が慰安婦被害者たちに「捨てる」「しからなければ」など言葉の暴力を加え、特に意思疎通や体を動かすことができない、介護の必要性が高い慰安婦被害者に虐待が集中していることが明らかになった。韓国仏教最大宗派の曹渓宗が1992年に設立した社会福祉法人であるナヌムの家では現在、慰安婦被害者5人が生活している。京畿道は調査団が最終的な結果を提出したら警察に捜査を依頼する方針だ。

 与党・共に民主党の尹美香(ユン・ミヒャン)議員が代表を務めていた正義連もの寄付金募集の過程で手続きを守っていなかったことが政府調査で確認された。行政安全部関係者は同日、本紙の電話取材に「6-7月に正義連の寄付金品法募集違反の有無について調べた結果、数件の不適切事例を確認し、行政指導を実施した」と明らかにした。行政指導には注意・警告・是正要求などがある。

 行政安全部側は、具体的な指摘事例と措置については「現在、ソウル西部地検の捜査が行われているため、公表は難しい」としている。だが、正義連の会計不正疑惑に対するソウル西部地検の捜査も遅々として進まないと指摘されている。検察は今年5月に関連の告発が受理されてから2カ月過ぎても尹美香議員を召喚すらしていない。

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