会社員のキムさん(31)は最近、検索エンジン「グーグル」で「フェイスブック」という単語を検索したところ、不可解な検索結果が出ることに気づいた。検索語入力欄に「フェイスブック」と入力するたびに、一番上に文在寅(ムン・ジェイン)大統領のフェイスブックページが表示されるのだ。

 キムさんは「これまで文大統領を検索したことも文大統領のフェイスブックページを閲覧したこともなく、文大統領のフェイスブックが国内の購読者数1位というわけでもないはずなのに、理解できない」と話した。

 グーグルで「フェイスブック」と検索すると、文在寅大統領のフェイスブックページが、「ツイッター」と検索すると、チョ・グク前法務部長官のツイッターアカウントが検索結果の最上位にそれぞれ表示される。二人はフェイスブックでもツイッターでも購読者数(フォロワー数)や影響力ランキングなどで再上位圏にはいない。これらの事象についてグーグルに質問したところ、グーグル側は「人為的に介入しているわけではない」との立場を明らかにした。

 本紙が今年6月末から8月初めにかけて、年齢・職業など属性が異なる50人に依頼し、グーグルで「フェイスブック」という単語を検索してもらったところ、パソコンやスマートフォンなどデバイスに関係なく全員が「一番上に『フェイスブック公式ページ』が表示され、その次が『文大統領のページ』」と答えた。

 「ツイッター」と検索すると、ツイッターの公式ページ、チョ前法相のツイッターアカウントの順に表示された。過去の検索履歴が影響していることを考え、インターネットの使用履歴を全て削除し、グーグルアカウントからログアウトして再ログインした上で再び検索したが、結果は同じだった。

 グーグルの幹部関係者は「検索量が増えているか、最近話題になった人物が検索結果の上の方に表示される可能性はある」と説明したが、文大統領のフェイスブックページの客観的な数値は高くない。

 フェイスブックとユーチューブを分析するサイト「ビッグフット9」によると、16日午後3時現在、文大統領のフェイスブックページに「いいね」を押しているのは約80万人で、国内のフェイスブックページの中では166位だ。1位の家電流通大手ハイマート(約1296万人)は文大統領の16倍、アイドルグループBTS(約1152万人)は同14倍と大きな開きがある。文大統領のフェイスブックページのTAT(話題性指標)順位は114位だ。91位の許京寧(ホ・ギョンヨン)国家革命配当金党代表より順位が低い。

 チョ前法相のツイッターアカウントの数値も高くない。国内のツイッター分析サイト、コリアン・ツイッターによると、16日午後3時現在のツイッターの上位10人の平均フォロワー数は約686万人だが、チョ前法相のフォロワー数は約104万人だ。1位はBTS(約2071万人)でチョ前法相の19倍、2位はアイドルグループBIGBANGのG-DRAGONさん(約886万人)は同8倍と大きく差が付いている。チョ前法相のツイッター内での影響力ランキング(芸能人を除く)は26位だ。朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領(2位)故・朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長(22位)より低い。

 サイバー戦の専門家、ソン・ヨンドン教授(漢陽大融合国防学)は「グーグルのような信頼度の高い検索エンジンで検索結果の最上段に特定の人物が表示されれば、それだけで人々がその人物に対して持つイメージ自体を変えてしまう恐れがある。これを政治的に使ってはならない」と指摘した。

 一部では、グーグルが最近、フェイクニュースや半独占騒動で各国政府から「公共の敵」と追い込まれ、政府の顔色をうかがった結果だとの声も出ている。シン・ミンス教授(漢陽大経営学)は「最近グーグルがユーチューブのフェイクニュースなど国内で物議を醸し、苦境に陥っている」として「先ごろグーグルが放送通信委員長との会合を主催するなど韓国政府の顔色をうかがっているため(グーグルの検索結果疑惑は)十分に提起可能な疑惑だ」と述べた。

 グーグル・コリア側は「検索結果は独自のアルゴリズムに基づいて反映されている」と説明した。

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