文在寅(ムン・ジェイン)大統領は23日(現地時間)、第75回国連総会での演説で、韓半島終戦宣言によって北朝鮮を対話の場に再び導く考えを表明したが、この構想が米国の韓半島専門家グループから強い批判を受けている。核、人権、サイバー犯罪などを無視した「現実性のない虚像」との指摘が相次いでいる。

 文大統領はこの日の国連総会演説で「韓半島の平和は東北アジアの平和を保証し、世界秩序の変化に前向きに作用するだろう」「その始まりは韓半島終戦宣言だ」と訴えた。文大統領は「終戦宣言こそ、韓半島において非核化と共に恒久的な平和体制の道を切り開く入り口になるだろう」とも強調した。非核化対話と南北関係が視界ゼロの状況で、「終戦宣言」を前面に出すことで韓半島平和プロセスの動力を改めて確保したい意思が読み取れる。

 これに対してタフツ大学フレッチャー・スクールのイ・ソンユン教授は「真の平和とは、単に緊張がないだけではなく、そこに正義が存在することである」とするマーチン・ルーサー・キング牧師の言葉(1958年)を引用しながら文大統領の構想を批判した。イ教授は「北朝鮮は不正義そのもの」とも指摘した。対話を通じた一時的な緊張緩和ではなく、核や人権、サイバー問題などを包括する根本的な解決策の必要性を訴えたものとみられる。

 米国の対北朝鮮制裁専門家のジョシュア・スタントン弁護士も「終戦宣言が実現したと仮定しよう。在韓米軍が撤収し、全ての制裁を解除し、非核化を放棄した上で、北朝鮮の反人道犯罪を容認し、金融と銀行詐欺をそのまま放置するのか」と反論した。終戦宣言が実現する可能性についてスタントン弁護士は「絶対に実現しないし、しても何も終わらせられないだろう」と指摘した。米センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト(CFTNI)のハリー・カジアニス韓国担当局長はこれらの記事について「100000000パーセント同意する」と述べた。

 今回の文大統領の終戦宣言構想については「ただの政治イベントにすぎない」との指摘も相次いでいる。北朝鮮は事実上、全ての対外接触を拒否しており、文大統領の任期も1年6カ月しか残っていないため、実現の可能性は低いということだ。ワシントンのある消息筋は「2年前もそうだったが、北朝鮮が全てを閉じ切っている状況では、韓国政府のウィッシュフル・シンキング(希望的観測、夢想)に終わるとみる雰囲気が支配的だ」と指摘した。

 文大統領とは異なり、米国のトランプ大統領は国連総会演説で北朝鮮に言及しなかったため、非常に対照的だった。トランプ大統領は7分間のビデオによる演説で、コロナ19流行については中国非難に多くの時間をかけた。また国外での懸案として中東の平和協定締結などを自らの成果と訴えた。

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