9月19日の「青年の日」のイベントで、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「政府は青年たちと共にあろうとして、公正と正義、平等な社会のため一歩ずつ前進している」と語った。だが、その4日後の9月23日、韓国与党は民主化運動有功者やその子どもに就職・住宅ローンなどの面で特別待遇を与える法案を発議した。失業や住宅価格を巡って苦痛に見舞われている数多くの青年から目を背け、「学生運動出身の特権層」に不公正な特別待遇を継承させている-という批判が起きた。

 秋夕(中秋節。今年は10月1日)前後の各種世論調査で目を引いたのは、20代の民心の悪化だ。韓国リサーチの調査で、「韓国は正しい方向に向かっている」と回答した20代は27%にすぎなかった。40代(62%)の半分にも満たず、60代(33%)よりも低かった。この調査では、文大統領に対する20代の支持率が29%と、やはり全ての年齢層の中で最低値を記録した。韓国ギャラップの調査では、与党「共に民主党」の支持率が20代で26%と最も低くなった。チョ・グク元法相の問題に続き、秋美愛(チュ・ミエ)法相の問題を含めて絶えず起こる不公正問題が原因だ。

 MBC放送の調査では、秋美愛法相の辞任賛成が過半数(54%)を占め、年代別では20代が64%で最も高かった。KBS放送の調査では、現政権になって公正性が向上した部分はないとか、むしろ悪くなったという評価が61%に上り、とりわけ20代では65%に達した。京郷新聞の調査では、「韓国社会は全般的に公正」という20代は3割にすぎなかった。現政権は口で公正や正義を叫ぶばかりで約束は守らない、という怒りが強いことを教える調査結果だ。

 北朝鮮軍が韓国国民を無惨に射殺した事件に関連して金正恩(キム・ジョンウン)政権や韓国与党に対する20代の視線が冷たいのも、公正の問題と関連がある。青年世代は、「金スプーン」中の「金スプーン」である金正恩の世襲体制を嫌う。昨年末のギャラップの調査では20代の91%が、金正恩に対し「好感を持たない」と答えた。金正恩の謝罪通知文に韓国与党が「格別な意味」とはしゃいでいることも、青年世代はとんでもないと思っている。KBSの調査で20代は、公務員射殺事件への韓国政府の対応は「誤っている」(69%)という回答が「よくやっている」(18%)を圧倒した。

 20代は、コロナ19によって就職面で崖っぷちに追い込まれた「コロナ世代」と呼ばれる。20代は、過酷な生存競争や脱落の恐怖に苦しみ、上の世代よりも公正性に対して極めて敏感だ。現在、韓国の全有権者に占める20代以下の割合は18%で大きくはないが、今後の選挙では「最大の勝負どころ」に浮上するだろう。進歩寄りの30-54歳(45%)と保守寄りの55歳以上(37%)が、どちらも過半数に達しないからだ。だが与党は、「仕事の面倒を見る」よりも「自分の仲間の面倒を見る」「北朝鮮政権の面倒を見る」ことの方に関心を注ぎ、若者に挫折感を抱かせている。与党側は暇さえあれば「20年政権」を叫ぶが、コロナ世代の苦痛に関心がないのであれば、それこそ次の選挙で勝つのも容易ではないだろう。

洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者

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