20日に公表された韓国監査院の「月城原発1号機早期閉鎖」を巡る監査結果報告書には、監査を妨害するため、産業通商資源部職員が組織的に資料・証拠の隠蔽を試みていたことが盛り込まれている。崔在亨(チェ・ジェヒョン)監査院長が最近の国政監査で「これほど抵抗が強い監査は初めてだった」と語るほど、産業通商資源部の「監査妨害」行為は軍事作戦を彷彿とさせるものだった。監査院はそうした監査妨害行為の責任を問い、問題の職員に対する懲戒を求める一方、捜査資料送付という形で検察に事実上捜査を依頼した。

 監査院は「昨年11月の監査院による監査に備え、産業通商資源部の局長と部下の職員が月城原発1号機関連の資料を削除するよう指示し、実際に削除するなどして、監査を妨害した」と指摘した。監査院によると、昨年11月に監査院による現場監査が迫ると、過去に脱原発政策の策定と実行に関与した産業通商資源部の一部職員が集まり、対策会議を開いたという。A局長は「コンピューターなどに保存された月城原発1号機関連の文書はもちろん、電子メールや携帯電話などさまざまなメディアに保存された月城原発1号機早期閉鎖関連資料を削除しろ」と指示した。

 監査院は「最近3年分の内部資料と青瓦台への報告資料」を要求したが、産業通商資源部は相当数が漏れた状態で一部のみを提出した。監査院が再度資料提出を求めると、部下の職員B氏は監査官による面談前日の昨年12月1日日曜日の午後11時24分から翌2日午前1時16分までの約2時間に計112のフォルダーに保存されていた関連資料を丸ごと削除した。B氏は監査院の調査に対し、「資料削除は(他の職員がいない)週末にやるのがよいと課長が言うので、週末に削除しようとしたが、なかなか機会がなかった。監査官との面談が決まったので、本当に削除しようと決心し、深夜に焦る気持ちで事務所に行った」と証言した。B氏は「関連資料があるのにないと言えば、良心の呵責を感じると思った」と話した。B氏は今年7月、別の政府官庁の委員会に派遣され勤務中だ。

 資料を削除した方法も専門的だった。過去に資源開発を巡る不正で捜査を受けた産業通商資源部では、「ただデリート(削除)キーで資料を消せば、全部復旧される可能性があるため、しっかり消去しなければならない」という言葉が広まっていたという。B氏は内容が分からないように別の内容を書き込んで文書を修正した後で削除した。しかし、削除するファイルの量があまりに多かったため。単純に削除した後、フォルダー自体を削除したという。B氏が削除した文書のタイトルは「長官報告事案」「脱原発主な争点」「エネルギー転換の利害関係者動向」「韓水原(韓国水力原子力)社長の面談参考資料」などだった。

 監査院は削除された444件の文書のうち324件をデジタルフォレンジックで復旧したが。残る120件は復旧に失敗した。重要資料の相当数が組織的な監査妨害で削除され、監査に支障が出た。崔在亨(チェ・ジェヒョン)監査院長は15日、「産業通商資源部の公務員が関連資料をほとんど削除したため、復旧に時間がかかった。事実を隠したり、虚偽の陳述をしたりして、それを追及する過程が数多く繰り返された」と述べた。

 産業通商資源部は「月城原発1号機の経済性評価などは韓国水力原子力が推進する事案なので、主に口頭報告で行われ、今回の監査に関連し、最大限誠実に(資料を)提出しようと努力した」と主張した。しかし、監査院は「(主張は)認められない」とし、資料削除を主導したA局長とB氏について、国家公務員法82条に従い、懲戒処分(軽懲戒以上)を行うよう求めた。また、「問責対象者の資料削除および業務関連の不正行為などと関連し、捜査機関に捜査参考資料を送付する予定だ」と表明した。刑事処罰のために事実上検察に捜査を求める姿勢と受け止められている。

 公務員が資料削除や歪曲、虚偽陳述などの監査妨害行為を大胆に繰り広げたことは異例だ。野党からは「青瓦台と産業通商資源部の幹部が関与しているのではないか」「公務員が後ろ盾もなくそんなことをしただろうか」といった指摘が出ている。産業通商資源部の組織的な資料隠蔽と監査妨害行為に対し、青瓦台が「丈夫な後ろ盾」になっていたのではないかとの指摘だ。

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