韓日の歴史問題で両国関係は依然として最悪の局面を脱することができずにいます。韓国で表れる代表的な反日の動きとして、日本車とユニクロの不買運動を挙げることができると思います。実際にトヨタ(レクサスを含む)、ホンダ、日産(インフィニティを含む)という日本車3社の韓国市場における1-9月の累計販売台数は1万4528台で、前年同期を49.3%下回りました。撤退を予告した日産は既に販売を事実上中断した状態です。

 今年9月に限って見ると、レクサス701台、トヨタ511台、ホンダ244台、インフィニティ2台、日産0台で日本車全体の販売台数は1458台でした。不買運動がもっと激しかった昨年9月に比べ32%増えたといってもこの程度です。

 不買運動前に韓国のファッション業界首位だったユニクロもかなりの被害を受けました。野心たっぷりに導入したサブブランドGUが8月で韓国から撤退しました。ユニクロも過去1年間で閉店が相次ぎ、昨年8月末に187カ所あった店舗は先月時点で164カ所に減りました。

■トヨタ、9月に中国で25%販売増、月次ベースで過去最高

 日本車とユニクロが韓国市場で打撃を受けたのは間違いないように見えます。ならば、日本車メーカーとユニクロの本社も大打撃を受けたのでしょうか。

 そうは見えません。最大の理由は日本車とユニクロが中国で売れに売れているからです。

 トヨタ(レクサス含む)の9月の中国における販売台数は前年同月を25.3%上回る17万9400台でした。6カ月連続で前年実績を上回りました。特に9月は月次ベースで過去最高だったということです。今年1-9月の累計販売台数も前年同期比6.9%増の126万2400台で過去最高です。トヨタの今年の中国における販売目標は前年比8.6%増の176万台なんですが、それを上回る数字も可能に見えます。

 ホンダはどうでしょうか。9月の販売台数は前年同月を22.3%上回る16万8900台でした。3カ月連続で前年実績を上回りました。やはり9月に月次ベースで過去最高の販売を記録しました。

 韓国から撤退する日産は中国でも苦戦しているでしょうか。日産の9月の中国での販売台数は14万1600台で、前年同月を5.1%上回りました。トヨタやホンダのような好調ぶりではないのですが、堅調な伸びと言えます。

■トヨタ、中国での販売台数は現代自の4倍…トヨタ、ホンダ、日産、9月に中国だけで49万台販売

 トヨタ、ホンダ、日産の日本車メーカー3社による中国での9月の販売台数は49万台です。同じ期間の韓国での販売台数(1458台)の336倍も売れたことになります。

 9月の中国市場全体での新車販売台数は前年同月比13.3%増の257万2000台でした。トヨタ、ホンダの販売台数の伸びは市場平均の2倍に達するので、日本車を買い求める中国人が増えていることを示しています。

 これは現代自動車の中国での状況と明らかな違いを見せています。現代自の中国での販売台数は2016年の114万台をピークに減少し、昨年は65万台まで落ち込みました。今年は年間50万台も割り込む危機に直面しています。今年1-8月の累計販売台数は26万2621台で、前年同期を31.4%下回りました。5年前まで中国の現代自社員は「他の場所はともかく、中国だけはトヨタが現代自に絶対追い付けない」と自信を抱いていましたが、今年の現代自の中国での販売台数はトヨタの4分の1にすぎません。既にトヨタは1-9月の累計販売台数(126万2400台)で現代自の年間最高記録(16年、114万台)を抜いています。来年には中国だけで200万台突破も可能とみられます。

■ユニクロの中国国内店舗数、日本を上回る

 ではユニクロに触れてみましょうか。8月末現在でユニクロの中国国内での店舗数は767カ所で、日本国内の直営店(764カ所)を初めて上回りました。9月末には782カ所まで増えました。過去5年間に中国だけで400カ所を新規出店しました。柳井正会長は最近、日本経済新聞のインタビューに応じ、「中国には13億の人口がいるので、店舗は3000カ所までいけると考えている」と語りました。現在でも中国での店舗数は韓国の5倍に達するのですが、3000カ所というとほぼ20倍です。

 現在ユニクロの売り上げのうちの日本が占める割合は30%で最も高く、香港・台湾を含む中華圏が20%台で続きます。ユニクロの過去3年間の中華圏での平均増収率は15%で、日本(3%)の5倍に達します。この勢いならば、3-4年後には売上高でも中国が日本を上回る見通しです。

 ユニクロの時価総額は7兆3880億円(14日現在)で、新型コロナウイルスの流行が本格化する前の2月末に比べ約30%増えました。韓国での不買運動にもかかわらず、中国市場が好調だったおかげです。現在ユニクロの時価総額は韓国株2位のSKハイニックス(62兆9722億ウォン=5兆8300億円、14日現在)を上回ります。

 これはファッション業界首位のインディテックス(ZARAなどのブランド保有)の時価総額が750億ユーロ(9兆3200億円)で2月末に比べ10%減、3位H&Mの時価総額が2700億クローネ(3兆2300億円)で10%減だったのに比べると際立った成果です。

■不買運動もよいが、韓国が実益を得られるか自問する必要も

 どうでしょうか。不買運動が韓国で日本企業に打撃を与えたのは確かですが、それが日本本社に大きな影響を与えたようには見えません。そして、それよりも重要なのが中国の姿勢です。米中衝突という特殊な状況で日本の支援が必要だったため、中国当局は日本企業が中国で大もうけするのを容認しているのかもしれません。中国も日本と歴史問題で深く対立しています。しかし、実利的な面で日本企業に中国でカネを稼がせ、中国も日本との協力を通じ、得るものを得るという計算かもしれません。あらゆることが政治的ではありますが、それでも中国と日本は政治問題を表面化させずに互いの実益を探ろうととても努力しているようです。

 韓国の日本製品不買運動が不意味なことではないですが、特定企業をたたき過ぎれば、結局自分たちが逆風にさらされることになりかねません。もちろん日本と関係が悪化しても、それで韓国が日本で多くの商品やサービスを売る機会を逃したとしても、巨大市場である中国で韓国製品をもっと売ることができれば、実利的かもしれませんが。コロナで全世界の経済が苦しむ中、唯一好調な中国市場を韓国は十分に活用しているでしょうか。最近の状況を見ると、韓国は中国市場で実益を得ているようには見えません。むしろ実益は日本企業が得ている状況です。

 日本車とユニクロの中国市場での躍進を見ていて、韓国は彼らに実際に打撃を与えることもできず、実益ばかり逃しているのではないかと自問させられます。

崔元碩(チェ・ウォンソク)国際経済専門記者

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