文在寅政権
「光化門集会は殺人者」と言っていた文政権、民労総の集会は放置
「××、朴槿恵(パク・クンへ)政権よりひどそうだ、××野郎どもめ!」「○○○どもめ!」
12日午後6時30分ごろ、ソウル市永登浦区汝矣島の「共に民主党」ビル前で「民主露天商全国連合」という団体が開いた集会にはおよそ90人がろうそくを持って集まり、こんな声を上げた。集会の現場では、公務員らが「参加者が100人を超えるか」だけを監視していた。警察官らも集会を見守るだけだった。「ソウル市内で99人以下の集会」は許容されるという理由からだ。この日、韓国国内のコロナ確定患者数は143人(前日0時-当日0時基準)。ソウル市と韓国警察が「コロナ拡大の危険」があるので政府糾弾集会を阻止するしかないと言っていた開天節(10月3日)の確定患者数は75人だった。
民労総(全国民主労働組合総連盟)など諸団体は、14日にソウル市内30カ所を含む韓国国内およそ40カ所で同時多発的に「全国民主大会」を開く、と警察に申告した。申告によると参加者数は合計1万3000人。しかし民労総などは、これに先立つ9日、記者会見で「合計10万人が参加するだろう」と公言していた。開天節やハングルの日には「車の窓を開けない」「9台以下で走る」などあらゆる約束をしても一部しか許容されなかった「車両行進デモ」も、今回は複数の場所で行われる。
盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長は4日、国会で「光化門集会」(光復節)主催者のことを「殺人者」だと発言した。ところが韓国警察に、今回の集会を制裁する考えはない。警察は「集会主催者側に防疫守則順守を要請し、集会当日の状況を見守って必要に応じ周辺にフェンスを張るなどの形で統制する」とコメントした。
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10月の政府糾弾集会への対応は、今回とは全く違っていた。「防疫」を掲げ、集会予定日の前日からソウルの光化門広場一帯に警察バス500台と鉄製のバリケード1万個を配備し、集会当日には1万2000人の警察要員まで動員して一帯を完全に封鎖した。ソウル市の境界から漢江の橋など、集会場所へ向かうルートの要所に三重の防御線も張った。通過する乗用車を止めて窓を開けさせ、太極旗を所持した市民まで通行を妨げた。
光化門一帯では、集会参加者はもちろん一般市民の通行も遮断された。人影が途絶えたことで、一帯の商店は週末の営業を諦め、飲食店があらかじめ準備していた数十万ウォン(10万ウォン=現在のレートで約9420円。以下同じ)から数百万ウォン(100万ウォン=約9万4200円)分の食材を廃棄するという事態も各所で繰り広げられた。当時、警察は「大規模集会の懸念」を強硬対応の根拠として掲げたが、実際のソウル都心地域における開天節集会参加者は200人程度だった。
そんな韓国警察とソウル市に「今回の民労総集会には寛大な理由」を尋ねると「ソーシャルディスタンスが第2段階から第1段階へ緩和されたことにより、コロナ拡大の懸念が低下したから」という見解を明かしてきた。先月からソウル市内の集会人員制限も「10人未満」から「100人未満」に緩和された-という説明だった。
しかし実際には、コロナ危機は10月より今の方が深刻だ。開天節集会を控えていた10月1日、2日の時点で、コロナの1日確定患者数はそれぞれ77人と63人だった。逆に今月11日の確定患者数は146人、12日は143人だ。1日に発生する確定患者の数は10月上旬の倍になっているにもかかわらず、政権寄りの団体に対しては大規模デモを許容しているのだ。ソウル警察庁の関係者は「今週末の集会にも数千人の警察要員を動員して十分な対応を行う予定」と語った。