▲写真=検察の「セウォル号惨事特別捜査団(特捜団)」が韓国軍機務司令部の貨客船セウォル号遺族不法査察疑惑について「嫌疑なし」との判断を下した。李載寿(イ・ジェス)元機務司令官=写真=は2018年、ソウル中央地検の捜査を受けた後、自殺した。

 検察の「セウォル号惨事特別捜査団(以下、特捜団)」が「韓国軍機務司令部・国家情報院の遺族不法査察」「青瓦台・法務部の捜査・監査外圧」「青瓦台の事故時刻操作」といった疑惑のほとんどが嫌疑なしであるという最終捜査結果を発表した。検事9人、捜査官20人が1年2カ月以上かけて捜査した結論だ。

 李載寿(イ・ジェス)元機務司令官は2018年、「遺族不法査察」の捜査を受けていた際に飛び降り自殺したが、今になって潔白が証明された。誰がこの無念の死と遺族の悲劇の責任を取るのか。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は全軍指揮官会議で「韓国軍機務司令部のセウォル号遺族査察は旧時代的で不法な逸脱行為」と言った。裁判どころか、捜査もしていないのに「不法」と断定した。この国では大統領が捜査も判決も1人ですべてやる。大統領がでたらめの「御命(王の命令)」を下すや、検察の忠犬たちが「李載寿元司令官殺し」に乗り出した。令状実質審査に出席する李載寿元司令官に手錠をかけ、報道陣に写真を撮らせるために立たせた。軍人にわざと最大の侮辱を与えたのだ。李載寿元司令官の死は権力による殺人であり、その最大の責任者は文大統領だ。文大統領は遺族と国民に対し、見解を明らかにしなければならない。

 セウォル号事件の捜査・調査はこれまで8回も行われた。検察の捜査と国会の国政調査、監査院の監査、海洋安全審判院の調査、特別調査委員会の調査、船体調査委員会の調査、セウォル号社会的惨事特別調査委員会(社惨委)の調査が行われたが、事実上、初めての検察の捜査で進展はなかった。進展するはずもなかった。最初の捜査で事故原因がすべて解明されたし、責任者は処罰されている。それ以降は「調査のための調査」だった。セウォル号事件を選挙に利用する民主党が、なぜやるのか分からない調査を限りなく引き延ばしている。民主党はまた社惨委の活動期間を伸ばし、特別検事も設けた。9回目の捜査・調査になる。特別検事はセウォル号内の監視カメラのデータが操作されていないかどうかなどを調査するが、検察の特捜団が既に調べた内容だ。もう新たに出てくるものがないということは民主党もよく知っているだろう。

 特捜団の関係者は「事件にならない事件を無理やり作ることはできない」と言った。文政権が「無理やり作った事件」は一つや二つではない。文大統領が捜査を指示した事件はほぼ例外なく無罪になった。韓国軍機務司令部「戒厳令文書」事件は全員が嫌疑なしや無罪になった。朴賛珠(パク・チャンジュ)元陸軍大将事件の捜査もパワーハラスメント(パワハラ)は嫌疑なしになり、別件の収賄も無罪だった。司法介入事件でも次々と無罪が出ている。この政権は、他人にはない罪を作りながらも、月城原発1号機評価操作や蔚山市長選挙工作など身内の違法については、ある罪をなくそうとしている。

 生きている権力でも自分の不法行為をすべて覆い隠すことはできない。チョ国(チョ・グク)前法務部長官は妻・鄭慶心(チョン・ギョンシム)東洋大学教授の有罪判決により、子の入試不正や証拠隠滅で共謀していたことが確認された。朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長のセクハラ(性的嫌がらせ)は警察・検察とも免罪符を与えたが、被害者の別の裁判で事実として認められた。罪のない人を無理に罪人にして死に追いやるなどということは、国がしてはならないことだ。この先頭に大統領が立っているとしたら、実に深刻な問題だ。ところが、そうした大統領は申し訳なさそうにしている気配すらない。

ホーム TOP