親文(親・文在寅〈ムン・ジェイン〉)系市民団体が朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長のセクハラ(性的嫌がらせ)被害者を殺人罪で告発するという。朴元淳前市長が「セクハラで訴えられるだろう」と事前に聞き、自殺という極端な選択を自らしたということは、世間の誰もが知っていることだ。それでもこの市民団体は「被害者は朴元淳前市長を死なせるためにわざと告訴した殺人者だ」といった具合の理不尽な主張をしている。この市民団体は被害者の弁護人も誣告罪(虚偽告訴罪)で告発したという。「MeToo(性的被害の告発)を装った政治工作だ」というのだ。加害者の罪を覆い隠すため、被害者を殺人者に仕立てるという前代未聞の振る舞いだ。

 この極悪な振る舞いは警察・検察が加害者側全員に免罪符を与えたことで激しさを増した。朴元淳前市長の側近である「ソウル市庁舎6階の人」はセクハラほう助で嫌疑なしとの判断が出た日、「(朴元淳前市長の)4年にわたる性的暴行という(被害者の)主張の真実味も疑わざるを得ない」と言った。何をしても選挙に勝ったから、今や開き直って白と黒をひっくり返そうとしているのだ。

 親文系団体は裁判所も攻撃した。裁判所は被害者の別の裁判で「朴元淳前市長のセクハラで相当な精神的苦痛を受けたことは間違いない事実だ」と述べた。すると、朴元淳前市長と腕を組んだ写真をインターネット上に掲載して「私もセクハラした」と書き込み、被害者を攻撃した女性検事は裁判所に向かって「司法は(ナチスの)突撃隊並み」と言った。この女性検事は文大統領を「お月様」と呼び、チョ国(チョ・グク)前法務部長官の捜査を「魔女狩り」と皮肉った。被害者を殺人罪で告発するという親文系市民団体は、裁判所を職権乱用・名誉毀損(きそん)などで告発した。

 2次加害の第一歩は朴元淳前市長がセクハラで訴えられるという事実を事前に流出させたことだった。大統領の手足と言われて流出疑惑が濃厚なソウル地検長も、与党・共に民主党の女性団体出身議員も免罪符を手にした。被害者側は「2次被害を防いでほしい」と二度にわたり公式に要請したが、女性家族部は二度とも黙殺したという。文大統領が何を意味するのかも分からない「残念だ」という言葉しか言わないことも、朴元淳前市長のセクハラをぼやかすものだ。今回も「選挙さえ勝てばすべてが覆い隠されるだろう」と考えているのだろう。今、被害者とその家族たちは死にそうだと訴え、「どうか2次加害はやめてほしい」と絶叫しているのに、その声は宙に散っている。韓国社会はまかり間違えば白と黒がひっくり返るかもしれない社会になりつつある。

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