韓国KBSラジオのニュースで、北朝鮮の閲兵式動向や青瓦台要人に対する検察調査などの一部記事を任意に削除したり、内容を省略したりしたまま放送したケースが、昨年10月以降で20件以上発生していたことが分かった。

 

 KBS労働組合は1日、「2020年10月から12月までキム某アナウンサーが担当した週末午後2時のニュースで、20件余りの任意のニュース変更事例が確認された」「放送順序が書かれたキューシートにある記事を外してしまったケースが6件、記事内容の一部を削除したり、原文にない内容を追加したりした内容変更も10件に達した」と明らかにした。

 KBS労組の調査結果によると、このアナウンサーは、昨年10月以降、▲合同参謀本部、「北朝鮮が今日未明に閲兵式を実施した状況をキャッチ」 ▲米当局者、「北朝鮮、核弾道ミサイル計画優先に失望」 ▲検察、姜琪正(カン・ギジョン)元青瓦台政務首席秘書官のGPS記録確保、などの主要ニュースを恣意(しい)的に放送から外したことが分かった。通常放送されるニュースでアナウンサーは進行役をするが、内容は報道局記者の所管であるため、これは越権行為になる。

 このアナウンサーは北朝鮮に射殺された公務員の追悼式のニュースでは、元の記事にあった、「我々は金正恩(キム・ジョンウン)政権のウソと暴力の犠牲者」というオットー・ワームビア氏の遺族による北朝鮮批判メールの内容を省略したことが分かった。その一方で、北朝鮮の閲兵式のニュースでは記事原文になかった「(金正恩総書記が)愛する南の同胞たちにも温かい気持ちを送る」と言ったとの内容を追加した。KBS労組関係者は「外した記事はほとんどが北朝鮮の人権や閲兵式、与党人事不正の内容など、現政権にとって好ましくない内容」「一定のパターンがある」としている。

 このアナウンサーは昨年12月にも「李容九(キム・ヨング)法務部次官タクシー運転手暴行事件」のニュースを伝える際、野党が問題提起した「偏向捜査」疑惑の部分を省略して問題になった。KBS側はこれまで、「ラジオはニュースの時間が短く、一部省略することがあり得る」としてきたが、この日は「該当のアナウンサーや編集記者などの関係者たちを監査する」との見解を明らかにした。本紙は、このアナウンサーの見解を聞くためテキストメッセージを残すなど連絡を試みたが、連絡がついていない。

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