韓国政府が月城原発1号機の経済性評価をねつ造した疑いが持たれる蔡熙峯(チェ・ヒボン)元青瓦台産業政策秘書官を韓国ガス公社社長に据えるため、形式だけの公募を行った疑惑が指摘されている。ガス公社は2018年11月、社長公募を実施したが、蔡元秘書官は応募できなかった。蔡元秘書官は1カ月前に退職しており、公職を退いてから6カ月が経過していなかったため、応募資格を満たさなかったのだ。すると、産業通商資源部は最終候補2人をいずれも不合格とし、再公募を実施した。再公募は蔡元秘書官が応募資格を満たした直後の19年4月に行われた。蔡元秘書官が就任するまでガス公社社長は10カ月にわたり空席だった。

 蔡元秘書官は18年、産業通商資源部の原発担当公務員に「月城原発1号機の稼働を即時中断できるよう、原発関連の数値を修正しろ」という趣旨の指示を下したという。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「月城原発1号機の稼働中断はいつ決めるのか」と尋ねた時期だった。青瓦台の指示を受け、産業通商資源部の担当公務員は会計法人に圧力をかけ、原発の経済性をねつ造し、月城原発1号機を閉鎖した。そうした不正の先頭に立った大統領秘書官が「組織犯罪功労賞」として受け取ったのがガス公社社長のポストだった。

 当時産業通商資源部の原発課長は白雲揆(ペク・ウンギュ)元産業通商資源部長官から「君は死にたいのか」と脅された。その後、経済性評価のねつ造に加担し、19年には局長級に昇進した。そして、同年末、ねつ造を隠蔽するために原発関連資料を不当に削除したとして起訴された。ところが、産業通商資源部は刑事事件で被告となった職員を懲戒するどころか、長官政策補佐官に任命した。ねつ造と証拠隠滅を行っていながら、賞として昇進や良いポストへの任命を行った格好だ。

 首相は昨年末、大田地検が月城原発1号機に関係する公務員の逮捕状を請求すると大検察庁に報告した翌日、産業通商資源部を訪ね、「積極行政賞」を授与した。韓国政府の歴史上、ほぼ前例がないとんでもない出来事だった。それにとどまらず、文大統領は産業通商資源部への第3次官の新設も約束した。第3次官の新設も前例がないことだ。第3次官のポストができれば、追加的な昇進が行われるはずだ。大統領が政府の組織新設、公務員報奨を自分の犯罪を覆い隠すために利用している。月城原発1号機の廃炉過程はねつ造と脅迫、証拠隠滅など組織犯罪団が動いているに等しい。そうした組織犯罪団は加担者に罰ではなく賞を与える。

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