国政介入事件で収監された崔順実(チェ・スンシル)氏はこのほど、崔氏が300兆ウォン(28兆4000億円)を隠匿しているという陰謀論を持ち出した安敏錫(アン・ミンソク)国会議員(共に民主党)について、「法的責任を問うてもらいたい」とする陳述書を検察に提出したという。崔氏は陳述書を通じ、安議員が指摘した疑惑に細かく反論した。

 時事ジャーナルは23日、崔氏が現在収監されている清州女子刑務所から清州地検に送ったと推定される陳述書を公開し報じた。

 「安敏錫名誉毀損陳述書」と題する自筆の文書で崔氏は「うそと扇動で国民を混乱に陥れ、国家の災難を招き、現在も依然うそと扇動に没頭する政治屋、安敏錫の国会議員職を剥奪するため、法的責任を問おうと思う」と記した。

 崔氏は「安敏錫氏はこれまで国会議員職を政治的な欲望と野心のために利用し、ある20代の若者(チョン・ユラ氏)の人生を台無しにし、ある家族を政治的なスケープゴートにして抹殺した人物だ」とし、「どうしてそんなうそや謀略を使い、国会議員職を本人の興行目的で私有化するのか問いたい」とも書いた。

 これに先立ち、安議員は崔氏が朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の影の実力者だという疑惑が指摘された2016年12月からメディアを通じ、崔氏の隠し財産があると主張してきた。17年に崔氏が海外に隠した資産を探すとし、欧州5カ国に渡航後、放送に出演し、「朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の統治資金の規模が当時の金額で8兆9000億ウォン、現在の価値で300兆ウォンを超えており、その資金が崔順実一家の財産の出発点だと判断できる」と主張した。

 そして、安議員はドイツ検察当局がドイツ国内の崔氏の財産を追跡しているが、その規模は数兆ウォンに達し、朴正熙元大統領の統治資金が崔氏一家に流れ、崔氏の財産増殖に貢献したといった疑惑を指摘した。その後、安議員は崔氏について、数年にわたり隠し財産疑惑を指摘してきた。

 これについて、崔氏は陳述書で、「これまで安氏が主張した全く物証も証拠もないうそと証明されていないいくつかの点だけを正確に申し上げたい」とし、「自分にはいかなる隠し財産も海外のペーパーカンパニーもない。この悔しさを晴らし、間接的に人格殺人および意図的、故意による殺人行為のような彼の発言に責任を取らせてくれることを望む」と書いた。また、「自分はペーパーカンパニー数百社を設立することもできず、そういう能力もない。仮に設立されていたとすれば、その実体、住所、社名を指摘すべきだ」と主張した。

 時事ジャーナルによると、崔氏は朴正熙元大統領の統治資金が崔氏一家に流れたとする主張についても、「その根拠や痕跡が全くない」とし、「財産と言えば、幼稚園を営んでいたミスンビルを売却し、娘がようやく京畿道に家を買い、弁護士費用と追徴金を支払ったのが全部であり、うちの娘は現在困難に直面している。それでも承継作業が終わったというので、正確な金額と承継過程を明らかにしてもらいたい」と求めた。

 また、安議員が「2016年6月に崔氏がロッキード・マーチン社の会長と会い、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)導入に関与した」という趣旨の主張を行っていることについて、崔氏は「悪意的であるどころか低級な陰謀論だ」とし、「自分がTHAADに介入しどんな役割を果たし、どんな武器を購入し、どれだけの利益を得て、それがどこにあるのか明らかにすべきだ」と迫った。

 崔氏は「ねつ造、企て、でっち上げた虚偽の情報を必ず明らかにし、一介の国会議員が国家と国民をだました罪を必ず解明し、国会議員職を剥奪してくれることを望む」と主張した。

 これに先立ち、崔氏は19年9月、疑惑を指摘した安議員を虚偽事実流布による名誉毀損の疑いで告訴した。当時崔氏は報道資料を通じ、「これからは過去の自分と朴大統領に対し、国民をごまかした虚偽事実流布の責任者の責任を問うべきだと考えた」とし、「人権を重視する文在寅(ムン・ジェイン)政権の下で勇気を出し、安敏錫議員に対する告訴から始める」と述べていた。

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